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CREATOR INTERVIEW VOL.18

表現の幅を広げる「実験的モノづくり」がデザイナーの成長を加速させる

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株式会社イメージソース

“視覚的デザイン” に留まらない
イメージソースにおけるデザイナーの役割とは

これまでにカンヌ広告祭、One Show、D&AD Awards、ADFEST、Spikes Asiaといった様々なアワードで受賞実績のある株式会社イメージソースは、1998年の設立以来、常にデザインとテクノロジーの可能性を追求し続けてきた。そして、純粋にモノづくりが好きなメンバーが集まるイメージソースおいて、デザイナーの役割は “視覚的なデザイン” に留まらない。「表現の幅を広げたい」そんなデザイナーの想いを叶えられる環境がイメージソースにはあった。


「1つのスキルを極めることに捉われない」デザイナーに求められるのは問題解決能力

イメージソースにてアートディレクターを務める藤牧篤氏は、「メンバーには将来的に “柔軟な人材” になってほしい」と語る。そのため、イメージソースでは個々人の成長を意識した案件の振り分けがなされている。

藤牧:イメージソースは、クライアントから与えられた課題以外の課題に対しても、「もしかしたら一緒に解決できるかもしれない」と、幅広い提案をすることが多いんですね。だからこそ、様々な案件が生まれていて。Webの案件だけでなく、リアルな空間、すなわちインスタレーションの領域も行っているので、デザイナーの仕事というのはオンライン・オフラインをシームレスに繋いだ “体験” をつくり出すこともそうですし、もっと言えばデザインを通じて「クライアントの課題にどう応えるか」という “問題解決能力” がデザイナーの本質的な価値だと考えています。

そのためデザイナー視点だと、クライアントの課題を「表現」によって解決することもあれば、「情報整理」をしてあげることで解決することもあるかもしれないので、クライアントへのヒアリングは、プロデューサーだけでなく、デザイナーも同席する場面もあります。

アートディレクター 藤牧篤氏
アートディレクター 藤牧篤氏

また個人的にデザイナーには、時代にあわせた価値ある人材になってほしいと思っているんですね。何か1つスキルを身につけて作業的タスクを効率よくこなすことも大切ですが、それだけに捉われて欲しくない。なぜなら時代によって求められることは変わり、身につけた専門スキルが、数年後でも価値あるスキルとは限らない可能性があるからです。 そのため、身につけたスキルを使いこなしながらも、クライアントの課題に対してどう応えるかを真剣に考えられることが重要ですし、ある意味、メンバーには将来的に ”つぶしがきく人材” になってほしい(笑)。領域にも捉われず柔軟に対応する力を持つことが大事なのかもしれません。

だからこそ、イメージソースでは幅広い案件があるので、各々のメンバーのバックグラウンドを活かしながら、将来を見据えた個人の幅の広げ方、成長を意識した案件の割り振りを意識しています。

「サーフィンの案件にはサーファーの視点が必要なんです」個々人の趣味やバックグラウンドも大切

クライアントの課題を解決するために、様々な提案をするイメージソース。そして多様な案件には、Web領域以外の個々人の趣味やバックグラウンドが活きてくるという。スキル一辺倒ではない、 “感性” を大切にしたイメージソースでの働き方について伺った。

藤牧:イメージソースにはWeb業界出身ではないメンバーも多くいまして。デザイナーでも、紙業界出身のメンバーがいたりするのですが、Web領域以外のバックグラウンドを持っているというのは非常に強みになるなと思います。なぜなら、様々な案件がある中で、キャリア的なバックグラウンドもそうですし、個人の趣味とかも非常に案件に活きてくるからです。

たとえば直近の例で言うと、サーフィンをテーマにしたインスタレーションの企画がありました。しかし、サーフカルチャーに理解がないと、良いアイデアは生まれませんし、企画に深みが出ないんですよね。サーフィンをテーマにした案件には、サーファーの意見や視点が絶対に必要。幸いにも、イメージソースにはサーファーのエンジニアがいまして(笑)。そのエンジニアにロングインタビューを行ったりして、企画に反映していきました。実際に一緒にサーフィンをしに行ったメンバーもいましたね。

 
 
2018.9.10~17 に渋谷にて実施されるBIT WAVE SURFIN’ SHIBUYA CROSSING
http://www.bitwave.tokyo
2018.9.10~17 に渋谷にて実施されるBIT WAVE SURFIN’ SHIBUYA CROSSING http://www.bitwave.tokyo

多様な案件に対して、やっぱりそのジャンルのカルチャーを知ることが大事です。作法や歴史、文脈があるはずで、それを無視して企画を作ってしまったら、全然違うものになってしまうからです。そのため、普段の趣味が案件に活きていくということはたくさんあります。

私自身も音楽が好きで関係するレーベルもあるのですが、そこでのアーティストやDJとのつながりが活きたこともありました。とある企業さまのエントランスに設置するサイネージのプロジェクトで、エントランス空間全体をどうデザインするかがチャレンジングな案件でした。空間設計には必ずと言っていいほど音も求められるので、自分自身のバックグラウンドを活かしながら、お客様も自分自身も満足度の高い案件にすることができました。

いま、イメージソースの案件で言うと、半分近くはインスタレーションの案件で。そのため、デザイナーの仕事というのも、視覚的なデザインだけに留まらないんですね。だからこそ、スキル一辺倒ではなく、Web領域以外でのバックグラウンドや趣味、またその人自身の感性を大切にしています。

自由なモノづくりが将来的な案件を生み出す――イメージソースが取り組むR&Dとは

イメージソースでは、売上にすぐに直結しない、純粋にモノづくりを追求し、研究・開発をするR&D(自社開発)の文化・チームが存在する。クライアントが求めるアウトプットに対してスピード感を持って応えられるのは、R&Dの文化があるからこそ。そして、R&Dにおけるデザイナーの比重というのは、今後より大きくなる。

藤牧:イメージソースではR&D(自社開発)にも取り組んでいて、「自分たちが本当に面白いと思える、作りたいものをつくっていこう」という想いのもと、作り手の興味あることを考察したり具現化したりと、作り手が主体となってアプローチをする機会を設けております。 さらに『IMG SRC PROTOTYPES』というプロトタイプを社外の方々にお披露目するイベントを3ヶ月に1度のペースで開催するなど、自分たちのアイデアを発信することも大切にしています。

粗削りな状態のものもあるのですが、新しく出てきた技術を使って何ができるか、表現のトライアンドエラーをすることが重要で。というのも、クライアントから相談が来てはじめて「これで何ができるかな」と考えるのは遅いんですね。クライアントワークで検証やトライアンドエラーを繰り返していては、求められているスピード感に応えられないからです。

そのため、R&Dはある程度自分たちが先行開発して動いて、代理店やクライアントがイメージしやすいようプロトタイプに落とし込む取り組みとして行っています。もちろん、すぐに売上に直結することはないのですが、10年以上前からイメージソースには自社開発を行う文化があって。いま案件の半分を占めるインスタレーションも、2008年頃に「Webでのノウハウをリアルな場所で応用してみようよ」と自分たちでモノづくりを始めたのがキッカケでした。 それが数年後には案件に繋がるという経験があるからこそ、実験的なモノづくりの文化を大切にしていますし、R&Dによって生まれることが将来的にイメージソースの強みになるなと実感しています。

そして、「面白い」「やってみたい」というものを作れる環境があるからこそ、Webだけでない、幅広いバックグラウンドのメンバーが集まっていることで、より可能性は広がると思っています。実際、いまは紙出身、ファッション出身、建築出身、写真出身と、多彩なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっていまして、彼らが趣味やプライベートワークで行っていることが案件に繋がるケースもあります。すでに具体化されていることを考えれば、それがクライアントワークと接点を持つチャンスもありますし。社外で行われているR&Dと捉えることもできるのではないかと。

なお、これまではエンジニア中心の取り組みだったR&Dですが、これからはもっとデザイナーを巻き込んで取り組んでいきたいと考えています。なぜなら、体験の構築において、デザインの役割は非常に大きいですし、表現の拡張も積極的にチャレンジしていきたいからです。

「RAY DRAWING」IMG SRC PROTOTYPES 201806 にて
「RAY DRAWING」IMG SRC PROTOTYPES 201806 にて

「TYPHA」IMG SRC PROTOTYPES 201806 にて
「TYPHA」IMG SRC PROTOTYPES 201806 にて

「表現の幅を広げるためなら、1年、2年で軸足を変えてもいい」デザイナーとしての自由なキャリアパス

Web領域のみにとどまらず、オンライン・オフラインを一続きに捉えた “体験” をつくり出すイメージソースにおいて、デザイナーの役割は非常に幅広い。そして、モノづくりが好きなメンバーが集まる同社であるからこそ、個々人が伸ばしていきたいスキル領域にあわせて、自由なキャリアパスを描くことが可能だ。

藤牧:イメージソースにおけるデザイナーの役割は大きく分けると4つあります。1つめはアイデア出しをする「企画」領域、2つめはデザイン着手する一歩手前の設計の部分、ざっくり言えば「UX」領域、3つめは世界観を作ったり、どういったコンテンツを作っていくかという「AD」(アートディレクション)領域、そして4つめはグラフィックや写真・映像といった「コンテンツ」領域です。

全領域をひとりで担うのは限界があるので、メンバーひとり一人がどの領域に軸足を置くかが大事だなと。たとえばUXを中心に立ち回る、ADを中心に立ち回るなど軸足を決めて、そして様々な課題解決に携わる中で、多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集まり、チームとしてアプローチするのがバランスがいいと感じています。

もちろん、イメージソースにおける課題解決のアプローチにはデザイナーだけでなく、エンジニアも欠かせません。デザイナーが自主的に開催する勉強会では、技術的な話が必要になるとエンジニアにも声をかけて講師になってもらう、といったことも頻繁にあります。 やはり、Web領域は「どうしたら処理を軽くできるか」など、直接的な表現の話だけではない工夫が必要になってきます。イメージソースでは「分業ではなく協業」という考えがあり、デザイナーとエンジニアがコミュニケーションするケースは多くありますね。

そして純粋にモノづくりが好きなメンバーが多いので、メンバーひとり一人を見ても、それぞれが伸ばしていきたいスキル領域は変わっていきます。そのため、たとえばデザイナーが「今年はUXを頑張りたい」ということであれば、意識的にUXに関われる案件に参加させたりと、表現の幅を広げるためなら、1年2年で他領域へ軸足を変えていけることも、イメージソースの特徴かもしれません。

少し先を見据えたモノづくり、アイデアづくりがしたいというモチベーションがあれば、それを実行できる機会はたくさんありますし、これからも表現の幅を広げていけるような環境を大切にしていきたいですね。


取材を終えて

藤牧氏の一つひとつの言葉から、目先の利益を追求するのではなく、「より良いモノづくりをしよう」という想いを強く感じたインタビュー。様々な案件があり、実験的モノづくりができ、さらに多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集まってアプローチをするからこそ、イメージソースには必然的に表現の幅を広げられる環境がある。新しい表現を追求したいデザイナーにとっては、非常に活躍の場が多いに違いない。
文:永田優介 撮影:柳原美咲