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CREATOR INTERVIEW VOL.69

前職美容師、未経験からフロントエンドエンジニアへ。1年で案件のメイン担当となるまでの軌跡

UNIEL ltd.

未経験でのキャリアスタートにも関わらずわずか1年で急成長している、株式会社ユニエルの期待のフロントエンドエンジニア、石山大輔氏。その裏側に迫る。

デジタル、アナログの垣根を越えて、様々な企業のブランディングを手がけるクリエイティブデザイン集団・株式会社ユニエル(以下、UNIEL)。少数精鋭のメンバー構成の中、未経験でフロントエンドエンジニアとして入社したのは、石山大輔氏、23歳(取材当時)。 美容師からフロントエンドエンジニアへとキャリアチェンジした異色の経歴を持つ石山氏であるが、フロントエンドエンジニア歴、社歴ともにようやく1年経っただけにも関わらず、UNIELが制作するWebサイトのアニメーションをメインで担当している。未経験でのキャリアスタートにも関わらず、わずか1年で急成長しているUNIEL期待のフロントエンドエンジニアである。 そこで今回、なぜフロントエンドエンジニアへとキャリアチェンジしようと思ったのか、この1年間でどのようなことに取り組んできたのか、そして今後の展望について、怒涛の1年間を振り返ってもらいつつ話を伺った。


「UNIELであれば、嘘がない仕事ができると思った」大阪から東京へ出てきて新たなキャリアをスタートさせる

美容師からエンジニアへとキャリアチェンジするに至った経緯を教えて下さい。

もともと手に職をつけようと思い、高校では美容師コースを選択し、そのまま大阪で美容師となりました。ただ元々患っていた持病が悪化してしまい、立ち仕事を続けていくのが難しくなってしまったんですね。

そのため、事務仕事をしようと転職活動をしたのですが、学歴は高卒、資格も美容師資格しかなかったため、仕事が見つからず……。絶望的な20歳の時を過ごしていました。

 
 

そんな中、あらためて自分は何がやりたいのかと考えたとき、クリエイターへの憧れを抱いていたことを思い出したんです。美容師を目指していたのも “表現する仕事” だと思っていたから。美容師という職業から離れることになっても、やはり表現に関わりたいと思うようになりました。

そこで昔からパソコンが好きだったので、Web業界に進もうと、バイトをしながら1年間、デジタルハリウッド(以下、デジハリ)のWebデザイナー専攻コースに通い、Web制作について学び始めたことがキッカケです。

また、昔から音楽が好きで、音楽関係のクリエイターと繋がる機会が少ないながらもありました。そこで卒業制作として、知人の音楽プロデューサーのWebサイトを制作しました。

デジハリで学び始めた当初から、エンジニア志望だったのでしょうか?

当時はデザイナーとエンジニア、どちらを目指すか悩んでいましたが、知人のWebサイトを制作することで、最終的な表現をつくっていく過程、なかでもアニメーションを加えていく過程がすごく楽しいと思えたんですね。「自分で面白いものに仕上げている」という感覚が自分の中でしっくりきて、卒業制作を機にエンジニアを目指そうと思い始めました。

ただ、エンジニアを目指し始めたばかりで技術にそこまで自信が持てなかったため、クオリティを求める組織での就職は難しいと思っていたのですが、自身がどのような分野に挑戦したいかという意思表示だけはしようと思い、自分が行なっていきたいモーション演出を活かしたポートフォリオを制作し、いくつかの制作会社に連絡を取りました。

その中から何社かが僕のことを面白がってくれまして、そのうちの1社がUNIELでした。

石山さんが最終的にUNIELを選んだ理由はなんでしょうか。

僕のポートフォリオを見せたときに、微妙な反応だったんです。だけど、単にその反応が返ってきたわけではなく、ここをこうしたらもっと良くなるのではといった、事細かなフィードバックをくれたんです。それがとても嬉しくて。ポートフォリオに対して正直な意見を言ってくれた姿勢に、「UNIELだったら、嘘がない仕事ができる」と思えたのが理由です。また、UNIELの実績を見ていると、僕が好きなデザインのトーンに似ていたというのも理由の1つでした。

井の頭公園付近にオフィスを構えるUNIEL。2019年春に増床移転した新オフィスは、スタッフによる手作業部分も多く、おしゃれながらも人の手が入った温かみを感じるこだわり空間
井の頭公園付近にオフィスを構えるUNIEL。2019年春に増床移転した新オフィスは、スタッフによる手作業部分も多く、おしゃれながらも人の手が入った温かみを感じるこだわり空間

「なんとなく」ではなく、根拠あるアニメーションを。演出の細かさには人一倍こだわった

UNIELで働き始めて1年が経ちましたが、振り返ってみていかがですか?

やはり、未経験からのスタートだったということもあり、他のメンバーとのレベルの差が大きく、常に焦っていました。しかも面接のときから「アニメーションをやりたい」という話をしていたため、入社してすぐにマークアップからアニメーションまでを担当する案件を任されたのですが、大幅に時間がかかってしまい、他のメンバーに迷惑をかけてしまったこともありました。

はじめは本当に「自分が担当するのか」と怖くて仕方がありませんでしたが、この1年を通して「自分が成長した分だけ、UNIELの新しい実績に繋がる」と思うと、やりがいを感じて仕事に取り組めるようになりました。

UNIELはブランディング案件を多く担当されていますが、ブランディング案件だからこそ意識していることはありますか?

エンジニアとしてコード構築はもちろんのこと、なぜこのアニメーションにしたのかということをしっかり言語化して、根拠ある実装を行うことを意識してきました。

というのもブランディング案件の場合、エンジニアがパフォーマンスを出せる部分はエクスターナルブランディングとなるため、ブランディング設計の基づいたイメージをエンジニアも理解している必要があります。その上でフロントエンドエンジニアはアニメーションでどう演出を加えるかを考えなくてはいけませんが、ブランディングを理解していなければ、お客さまはもちろん、デザイナーにも失礼だなと思うんですね。

そのため「なんとなく」で実装するのではなく、ブランディングのためにこういった理由で、このアニメーションを実装しました、としっかり言えるようにしようと意識して取り組んでいました。

『IPPUKU&MATCHA』サイト
『IPPUKU&MATCHA』サイト

たとえば最近の例を挙げると、制作した『IPPUKU&MATCHA』サイトでは、モノクロからカラーへとフェードインしていくアニメーションを実装していますが、それは「宇治抹茶の歴史を再構築」というコンセプトをメインに据えつつ、あわせて抹茶が持つ奥ゆかしさ、繊細さも表現しています。

この1年間、自分ができることは何かと考えてきたときに、演出の細かさだけは人一倍気を使って取り組んできたため、UNIELを知ってくださっている方々からも褒めていただく機会もありました。そういった部分をもっと強みに変えていきたいです。

他人のサイトを繰り返し評価することで、デザインを論理的に説明できるようになっていく

この1年間、スキルアップのためにどのようなことに取り組んできましたか?

アニメーションに関してはJavaScriptを勉強していくのはもちろん、制作スピードをあげるために、制作したものを自分用のライブラリにまとめ、汎用性を高めて使い回せるようにすることに取り組んでいました。

またUNIEL代表の野田からは、様々なオンラインアワードの受賞作を自己審査するよう言われ、用意されている評価基準に対して評価を投票するということをやっていました。他人のサイトを評価していく過程で、なぜこのデザインが素晴らしいのか、なぜ良くないのか、といったことを考えるため、デザインを論理的に説明できるようになっていくんですよね。

それを繰り返すことで、自分がつくるアニメーションに対しても「こうすれば、もっと良くなる」ということが見えてくるようになったと思います。この1年で発想力やセンスなどの部分は伸ばせたかなと思うのですが、エンジニアとしての技術領域の幅はまだ狭いなと思っているので、本当にまだまだこれから、という気持ちで日々学んでいます。

あらためてUNIELに入ってよかった、と思えることはありますか?

UNIELはまだ少人数の組織のため、自分が挑戦したい分野があれば、社内ではその第一線に立てます。自分のなりたい自分に成長できる環境があるというのが、現在の規模でのUNIELの良いところだと感じます。

また、UNIELでは雑貨を扱う店舗『STAYFUL LIFE STORE』を自社で運営しているのですが、自社の店舗をどう見せていくか、どうブランディングしていくかと、実案件にも繋がる視点を持てるというのは、UNIELならではなのかなと。

 
 

やはりブランディング案件ではお客さまと同じ立場に立って、「何をするか」を考えることが重要です。自社で店舗を運営しているからこそ、コンシューマー向け、ビジネス向け双方の目線を持つことができ、よりお客さまに寄り添った提案が出来ています。

依頼いただいている方々、そしてその家族にまで影響してしまう責任重大な仕事「決して手は抜けない」

石山さんが仕事で大切にしていることは何かありますか?

以前野田から聞いた「世の中には自分たちのつくったプログラミングのミスひとつで、人が死んでしまうかもしれない。そういった緊張感の中で働いているという方もいる」という話がとても印象的で。

それって車や工場など分かりやすいものに限らず、僕たちにも言えることで、自分たちが手を抜いてしまうと、お客さまの見え方が意図せぬ方向に向かってしまうことで、お客さまの社長、社員、そしてその家族にまで影響してしまいかねません。“数多くある中のWebサイトのひとつ” として捉えるのではなく、ひとつの会社と、関わる人の人生を背負っているくらいの気持ちを持ち、自分の仕事の責任の大きさを自覚することが大切だなと考えています。

今後、石山さんはどういったクリエイターになっていきたいですか?

まずはアニメーションスキルを高めるため、WebGLをもっと使えるようになりたいなと考えています。そしてWebGLは、Webにかかわらず応用できる分野のため、いつかVJにも挑戦してみたいなと。やはりデザインが好きなので、デザイナー側の視点も大切にしていきたいですし、その上でエンジニアとして「どう良く見せていくか」と、より演出力を高めていければなと思っています。

 
 

最後に、今後の展望を教えて下さい。

以前、野田に「技術レベルも低いし、熱意しかないやつをよく採用しましたね」という話をしたことがあります。そうしたら、野田は「自分に重なる部分を感じたから、期待を持って支えていきたい、という気持ちがあった」と話してくれて。

大阪から東京に出てきた未経験の僕がいまこうして働けているのも、代表の野田や一緒に働いているメンバーに引き上げてもらったから。期待してもらった分、ちゃんと形で返していきたいし、もっと頑張らなくてはと思っています。

現在は、ようやく自分の未来だけでなく「この会社をどうしていきたいか」といったことを考えられるようになりました。もっとスキルアップして、良いプロジェクトをたくさん世の中に生み出していき、UNIELとしての制作の幅を広げ、お客さまだけではなく、自分達の知名度も拡げられるようになりたいです。そして、今後はエンジニアの方で私と同じような想い、それ以上の人と一緒にUNIELで働くのが目標です。