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SPECIAL INTERVIEW VOL.8

「楽しみながら」 価値を世の中に発信していきたい

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masumasu inc.

大手メーカーから町工場まで、
徹底的なユーザー目線と少しの遊び心で人の心を動かす〼々の仕事術とは?

あまり表立って派手なアピールをしていないが、多岐にわたる魅力的な案件を手掛ける〼々(ますます)という企画・制作会社がある。その案件は、世界が注目するW杯で使われたスポーツ観戦のアプリや、B to Bのサービス開発、日産自動車のスペシャルサイト、光学機器の設計・製造を手掛ける町工場のコーポレートサイトと非常に幅広い。〼々はどのようにこれらの案件に向き合ってきたのだろうか。今回は〼々の代表でテクニカルディレクターを務める村上さんと、取締役でアートディレクターの根岸さんに話を聞いた。


企画や情報をデザインして発信していく

村上:〼々では 「おもしろく、人の心を動かす」ことを大事にしています。依頼をただこなすのではなく、企画から制作までを通じて価値を世の中に発信するような会社でありたいと思っています。

代表の村上さんはテクニカルディレクター。一般には技術面の全体的なとりまとめを行うポジションだが、〼々の場合は、その枠に収まらず幅広い領域に関わっている。

テクニカルディレクター 村上 悠馬さん
テクニカルディレクター 村上 悠馬さん

村上:大きな制作会社とは違い、案件によっては実装まで自ら行うこともあります。アプリやWebサービスのテクニカルディレクション ・UI・UX・システム設計はもちろん、協力制作会社の選定、全体のプロジェクトマネジメント、プレゼンまで、メディアやサービスを運用している会社に深く介入した仕事をしています。

根岸:〼々は他にもメンバーがいますが、実際にフルコミットしているのは、村上と僕なので、外部の制作会社との関わりも多く、調整も手を動かすこともしながらクライアントのゴールを目指す働き方ですね。

多様な案件に関わる中で大切にしているのは、ユーザー目線だと村上さんは話す。

村上:ユーザーが使ってみてどう感じるかを意識しています。案件の全てが自分に馴染みがあるというわけではないので、ユーザー体験がイメージできるまでは、徹底してクライアントにヒアリングをしていますね。ディスカッションの場ではクライアントが求めているものをじっくり聞き、ユーザー体験をイメージすることに重きをおきます。技術の詳しい話をしてもクライアントはわからないことが多い。わからないから我々に頼んでくださっているわけですし。ヒアリングしたことを技術的にどう実現するかの翻訳作業が、テクニカルディレクターに問われる能力だと思っています。

アートディレクターである根岸さんも、クライアントへのヒアリングは非常に重視している。

アートディレクター 根岸 浩平さん
アートディレクター 根岸 浩平さん

根岸:僕も村上も案件に取り掛かる前のヒアリングは入念に行います。二人で直接クライアントと話をするので、同じゴール設定を行える。だからデザイン側と実装側で立ち位置は違うけど、目指すものはブレません。

ここ1〜2年は長期案件に携わることが多く、あまり仕事内容を表に出していなかった〼々だが、昨年までは、スポーツ観戦アプリの制作を手掛けていた。

村上:2014〜2015年にかけてスポーツの公式動画配信アプリ制作に、テクニカルディレクターとして携わりました。そのスポーツの大会の試合が、360度マルチアングルビューで配信されるというもので、2015年のW杯やアジアカップでも使われています。様々なパーツを組み合わせていくのはなかなか大変でしたが、バラバラなものが一つにまとまっていく瞬間はとても面白いです。熱量のある空気感がとても好きなんです。アプリの実装は完了しプロジェクトへの参加は終了しましたが、たくさんの人が使ってくれるサービスを作るのは非常にやりがいがあります。

大手自動車メーカー日産自動車の「What's 日産NOTE?」も〼々が手掛けた案件だ。

根岸:縦長でパララックスを使ったサイトを作りましょうというオーダーでした。ただスクロールで商品紹介をするだけでは面白くないなと思ったので、〼々も含めプロジェクトメンバー5,6人でアイデア出しをして、結果ひたすら長くしてみようとなったんです。スクロールとともに、ドライブをしている風景や車内の様子を紹介しています。家族が登場するんですが、3世代に渡って登場させるなど、結構ストーリーも練ってあるんですよね。スクロールがいきついた先にも「お帰りはコチラ」という仕掛けを用意して、逆スクロールとともに家族が帰って行くようになっています。きちんと帰りは逆車線を走っていたり、見ていて楽しめるサイトができました。

What
What's 日産NOTE?

村上:車の魅力を伝える軸は絶対にブレさせずに、今までにないサイトを実現したかったんです。チームの雰囲気がすごく良かったので、面白いアイデアがたくさんでましたし、非常に楽しい仕事でした。

根岸:僕もデザインの制作作業だけではなく、アートディレクターとして、演者のオーディション、スタジオでの撮影・編集へ参加し、とてもやりがいを感じましたね。

どこかに『らしさ』を残したい

注目され話題になった大手メーカーの広告案件を手掛けた〼々。クライアントは多岐にわたり、昭和41年創業という歴史あるメーカーサイトのリニューアルも行った。

村上:三鷹光器さんは天文機器や、医療機器を生産している精密機器メーカーです。今回はサイトリニューアルで、CMSの設計から着手しています。以前のサイトは、時代の経過も感じられ使いづらいものでした。ページが何百ページもあったのでかなりスリムにし、英語にも対応させています。

根岸:扱っている製品が専門的なものなのでなかなか大変でしたが、最終的には型番で呼べるくらい詳しくなりましたね。バリエーションが多く情報が雑多になっていたので、区分けはこれでいいのか?オプションパーツはどこに配置するのか?とサイト構成を改めて考え直しました。ネットで購入できるような製品ではないので、サイトには価格も載っておらず、一般的なECサイトともまた違った構成になります。全く製品を知らない人は、そもそもこのサイトを見ないので、製品を選定するユーザーの立場からみて、どの情報が必要かなど、特性をわかりやすく伝えることを重視しています。

村上:リニューアル前のサイトはわかりづらく、サイトで製品を選び切れなかった。とりあえず電話をしてみようという人が多く、一からの説明が必要なため電話対応に追われていたそうです。製品についてある程度把握した上で、スムーズに問い合わせにたどり着く導線を意識しました。問い合わせの内容が「どれがいいかわからない」から「AとBの違いは?」に変われば、ユーザーも三鷹光器さんもはやく必要な製品にたどりつけますよね。この案件は外部パートナーは使わず二人で2ヶ月くらいで完成させました。

三鷹光器株式会社
三鷹光器株式会社

根岸:どこかに『らしさ』を入れたいって思ってます。製品画像にカーソルを合わせると、フレームの形が変化するんですが、三鷹光器さんの製品であるレンズの凹凸を表現しました。ヒアリングの際に、ロゴの由来がレンズの型から来ていると伺ったので。あと、オレンジと青の色味も、作業着の色から取ったりとか。三鷹光器さん『らしさ』でもあるし、ほとんど誰も気付かない遊びゴゴロが、〼々『らしさ』でもあるんです。三鷹光器さんも気付いていないかもしれない細かいところなんですが…

村上:気付いてないかもしれないですね。でも、そういうところにこだわれるのが少人数のチームでやるメリットですね。大手メーカーから、町工場のコーポレートサイトまで幅広く案件に関われ、そこにこだわりも残せるので。

数々のユニークな案件を、遊び心を加えつつ高いクオリティで実現させる二人。互いの凄いところは?

村上:根岸はウェブサイトの構成をイメージの状態で話しても、必要な構成を情報整理して良い物に仕上げてくれます。見切り発車はせずに、クライアントのためになるか、ユーザーは必要としているかと立ち返ってくれる。そこは頼りにしています。

根岸:流行りのデザインと同じような構成にしたいというオーダーも、ときにはあります。でもクライアントに案件のゴールを聞いてみると、そういったサイトじゃなくていいことも多いんですよね。いらない機能は削ぎ落とすことも大事。ゴールに対して必然性のあるデザインになるように、ときには引き算も必要です。今でこそUI,UXという言葉がありますが、その概念が確立する前から大事にしていますね。

根岸:村上は、知識の幅がすごいですね。技術の質問をして知らないってことがほぼない。興味があるなしに関わらず知ってる。時事ネタも詳しいし、なんでここまで知ってるの?って驚かされます。何でも答えられるから、クライアントやパートナー企業からの信頼も得られてきているのかなと。

村上:でも、積極的な情報収集は止めたんですよね。FacebookもTwitterもやってないし。昔はRSSリーダーで情報収集をひたすらしていたこともあったんですが、情報収集に使ってる時間を計算したら一日に2、3時間費やしていたんです。その時から無駄だなと思って一切止めました。 その時間は制作に当てたいなと。絶対に必要な情報はどこかから必ず入ってきます。人が教えてくれたり根岸が教えてくれたり、必要だったら調べれば情報は溢れてるし。

根岸:たしかに、村上はSNSやってないね。でも聞けば何でも答えてくれるから、伸ばしたいことが明確にある人にとっては、村上と一緒に働けるのは面白いと思いますよ。日々の案件とは関係ない技術でも、意欲があれば挑戦し身に付けることが出来る環境です。これもあまり表に出してないですが、〼々では、動画のタイポグラフィー監修やVJといった映像の仕事やインスタレーションを手がけたりもするんですよ。面白いこと、新しいことを色々やっているので、興味があればどんどん任せていきたいですね。

求める分だけ成長できる環境

今、〼々では村上さん直下で働くフロントエンドエンジニアを探している。技術を身に付けながら、多様な案件に関わりルーティンに陥らない業務ができるのだ。楽しみながら成長できるまたとないポジションだといえる。

村上:制作会社としては、一業種に絞ってナレッジを貯める方が効率がいいのかも知れない。でも〼々では、制作を淡々とこなす作業にはしたくないんです。都度この案件には、どういう解決方法があるのか、どういうアイデアが生きるかなとパズルの様に組み合わせています。だから様々な案件に対応できますし、いつもワクワクし続けられるんですよね。その方が次のアイデアも生まれるし、人の心を動かすものが作れるんじゃないかな。あとなによりやっている本人たちが飽きないというのが重要です(笑)

根岸:だから自分の、こうしたいこうなりたいっていう意見や想いがある人に来て欲しいです。教えることはできますし、いろんなことがやれる環境もある。何がやりたいかですよね。僕らにない意見は言ってもらいたいし、納得出来るものであればどんどん取り入れていきたいと考えています。

村上:最低限コーディングの基礎知識は持っていて欲しいなと思いますが、自分の言葉で話せるかどうかの方が大事ですね。足りない技術はこれから学べばいいし、クライアントへのヒアリング現場に同席してくれてもいい。自分次第で成長できる環境だと思います。

根岸:自分のキャリアを振り返ると、これまで3年ごとに転機があって、転職とか独立とか働き方が変わってきたんですよ。〼々に入って今3年経った。新しいメンバーが入ることが次の転機だろうなと思って期待しています。

村上:僕の場合は2年ごとに転機があったけど、ちょうど2016年が転機の年だ。今年は新しいメンバーも加えて、〼々がさらに進化する年にしたいですね。


取材を終えて

村上さんと根岸さんの間に流れる和やかな空気感から、互いへの絶大な信頼関係が伝わってくる。多くは語らない二人だが、実績が〼々の技術力の高さを物語っており、二人の仕事を間近で見られるだけでも成長出来るだろう。木の温かみと光に包まれたオフィスは居心地が良く、ここで働くことをワクワクさせるものだった。
取材・文:井澤 梓 撮影:川島 勇輝