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CREATOR INTERVIEW VOL.84

納得感はデザイナー、エンジニアといった職域を超えた共創から生まれる。ビルディットが自社プロダクト開発に注力する理由

株式会社ビルディット

「高品質な学びの仕組みをつくる」をミッションに、メンバーへの教育も重視する当社。成長環境や受託制作から自社プロダクトへと軸足を変えた理由とは?

教育・育成領域に特化したWeb開発事業を展開する株式会社ビルディット。自社プロダクトとしても、経験からの学びや気づきを積み上げ、それらのふりかえりを支援するアプリ『Stockr』などを提供しており、今後も積極的に自社プロダクト開発に注力していくという。 そんなビルディットでは、より良いプロダクトをつくるために、積極的にエンジニアとデザイナーが共創していくような進め方を行っている。 そこで今回、エンジニアである河村さん、UIデザイナーであるGrapeさん、またビルディット代表を務める富田さんに、ビルディットが教育領域に特化する理由やメンバーの成長環境、また自社プロダクトに注力していく理由について伺った。


「優しいプロダクトをつくることが大切」ビルディットが教育領域に特化する理由とは

あらためて、河村さん、Grapeさんがビルディットに入社するまでの経緯やキッカケを教えて下さい。

河村:もともとアルバイトとしてビルディットで働いていたというのもあるのですが、そのまま入社を決めたキッカケとしては、自身がエンジニアとして成長していける環境があると思ったからでした。

というのもビルディットは「高品質な学びの仕組みをつくる」というミッションを掲げていて、自社プロダクト含め、教育領域に特化したWeb制作を行っているのですが、社内でも自己研鑽のための時間が毎日設けられていたり、勉強会が盛んに開催されたりと、自社自身の教育というのを大切にしているんですね。

また、社員規模も大きいわけではないため、いろいろ任せてもらえますし、誰でもフラットに発言できて、そのまま自分のアイデアを実行させてもらえる環境にあるため、いいなと思い入社を決めました。

 
 

Grape:僕は中国で人間工学やUXを専門として学んでいたため、そうした知識を活かしたいと思っていました。そこで大学が近かったというのもあり、ビルディットには河村と同じく、はじめはアルバイトとして働いていました。

そんな中、感じたのはビルディットの人たちはみな優しいということ。誰も僕のことを外国人扱いせずに接してくれますし、何かわからないことがあれば、なんでも相談できる。
ここには長く一緒に仕事をしていける仲間がいるんだと感じ、大学を卒業してそのまま入社を決めました。

 
 

河村さんからもありましたが、ビルディットが教育領域に軸を置いている理由は何かありますか?

富田:一言で言うと、「教育領域が僕にとって楽しいから」というのがあります。私は25歳のときから職業エンジニアとして働き始めましたが、徐々に自分よりも若手が入ってきて、彼らに教えながらプロダクトをつくっていくという経験が楽しかったんですね。

特にWeb業界は比較的なにかを学習するためのツールが多くあったり、スキル習得のための方法が確立されているため、「教育×Web」という領域に面白さを感じていました。

また、1日の1/3を仕事に使うのであれば、 やらされている感のある状態で働くのは嫌じゃないですか。しかし、そういった仕事に対する “もやもや” を抱えたまま働かれている方は世の中に多いと思っていて、そうした思いを解決したいなと。

そこで高品質な学習を通じて、できることが増え、人生を前進させることの喜びを味わえば、働くとか生きるとかの時間がより意義のあるものになると思い、いまの「高品質な学びの仕組みをつくる」というミッションに至りました。

そして、まずは目の前の社員が生き生きと働けるよう、彼らの教育や学習の機会を大切にしていますし、私たちのプロダクト開発ができる力を使って、同じように世の中を支援したいと思っている事業者の方々に武器となるツールを提供していくことが私たちの役割だなと思っています。

 
 

Grape:以前に富田から、「優しいプロダクトをつくることが大事である」という話をされたことがあるのですが、ビルディットがつくるプロダクトは、どれも優しいんですね。

それは表層的な優しさもあれば、思想としての優しさもあって。表層で言えば、はじめてプロダクトに触れるユーザーでもわかりやすい、使いやすいなと思えるデザインにするなどですね。
そして思想で言えば、「このプロダクトをつくっている人たちは、いい人なんだろうな」と思えるプロダクトってあると思うんです。なぜそう思うかというと、プロダクトから「あなたのことを支援したい」という想いが伝わってくるから。

世の中がそういった優しいプロダクトに溢れたらいいなと思いますし、そういったことを大切にして開発をするビルディットで働くことで、自分自身の人柄も磨かれていくと感じています。

「自分はデザインができないからと、適当にデザインを実装しない」主体的に制作に携わるからこそ、共創が生まれる

ビルディットでは、デザイナーとエンジニアが共創していくことが多いそうですが、具体的にどのようにして一緒に進めていくのでしょうか。

河村:根本には「良いプロダクトをつくる」という目的をエンジニアもデザイナーも共通して持っていまして、その目的を達成するために相互にコミュニケーションを取りながら進めています。

そのため完全に分業制という形ではなく、たとえばエンジニアに渡されたデザインを「完成」として捉えるのではなく、デザインのガイドラインを参照しつつも、エンジニアとして感じた違和感をデザイナーに伝えて、細かな修正を行うということは日常茶飯事です。

 
 

Grape:また、決められた期日までに良いプロダクトをつくるためにも、エンジニアのことを考えたデザインを設計することが大事。たとえば案件によっては、リリースを優先しなければいけないものもあります。

そうしたときに、エンジニアが実装しやすいデザインにしたほうがいいといった考えも大切で、「エンジニアが困らないデザインとは」ということを自ら考えつつ、エンジニアと相談しながら進めていったりもします。

また、UIデザイナーの視点から「良いプロダクトをつくる」ために、デザインだけでなく、どういった機能が必要であるかといったことを提案しなければいけないシーンも多くあるんですね。そうしたときに、エンジニアとコミュニケーションを取りながら、実装のことも考慮した機能案を出したりしています。

そのため開発はできなくても、デザイナーは少しでも開発のことを知識として理解することが重要で、社内のデザイナー勉強会では「Flutter」という開発ツールの公式ドキュメントの読み合わせを行ったりと、デザイン領域以外の学びというのも大切にしています。

 
 

河村:入社する前は「自分にはデザインはできない」と思い込んでいました。しかし、ユーザーが直接触れる部分はデザインの領域でありながらも、それを実装するのがエンジニアである自分の仕事。エンジニアであっても、デザインについての理解は当然ながら必要なんですよね。
そのため、「自分はデザインができないから」と適当にデザインを反映させないということが非常に大切だなと。

そして「良いプロダクトをつくる」という共通の目的を抱えているからこそ、「どうしてこのUIになったんだっけ」というシチュエーションのときにも、エンジニアもデザイナーも共通の認識を持っていなければいけないと思っています。
だからこそ、ビルディットでは常に職域を超えたコミュニケーションが頻繁に起こり、チーム全員の目線を合わせて前向きに取り組むという動きが取れているのだと思いますし、デザイナーもエンジニアも納得感のあるプロダクトになるのだと思っています。

そうした職域を超えた共創を大切にする理由は何かありますか?

富田:そうやって進めていったほうが、単純に楽しいと思っているからです。同じ目標に向かってチームでつくる楽しさを味わうことが、結果的に生産性やアウトプットの質の向上に影響すると思っているんですね。
逆に目標がなかったり目的が見えづらかったりすると、無力感を感じてしまったり、モチベーションの低下に繋がりやすいじゃないですか。

だからこそ、一緒に楽しんでつくることをビルディットは大切にしていますし、そのためにも日々のメンバー同士のコミュニケーションのハードルを少しでも下げるために、対話の機会を設けたり、個々が学んだことを発表し合う場をつくったりといったことに取り組んでいます。

また、共創というのは関わる本人たちが主体的にならなければうまく進まないんですね。河村の言うとおり、「デザインのことはわからないから……」とエンジニアがデザイン領域を軽視してしまうと、それは共創にはなりません。

そこで、意識的に取り組んでいるのが情報開示です。たとえば制作したものがいまどれくらいのユーザーに利用されているのか、定量的、定性的両方のフィードバックを誰でも知ることができますし、これから制作する物に対しても誰でもMTGに参加できたりと、知りたい情報を誰でも得られるようにしています。

そうした情報開示によって、個々が持つ知見やノウハウから「こうしたほうが良さそう」といったアイデアが出てきますし、関わるメンバー間の目線が合っていくことで自分の役割というのが認識でき、最終的な目的である「良いプロダクトをつくる」ための行動が生まれてくるのだと考えています。

メンバー個人も会社も成長していくために、自社プロダクト開発に軸足を置いた展開を進めていく

 
 

ビルディットでは受託での開発だけでなく、自社サービス開発にも注力されていますが、その理由を教えてください。

富田:もともとのビルディットはなんでもやる受託開発屋でしたが、それだと時にはある程度スキルがある人、もっと言うと “タフな人” しか受けられない案件というのもあるんですね。たとえば、スタートアップ企業からCTO代理のようなお願いが来たこともありましたし、レガシーなシステムをどうにかしたいといったご相談もありました。

しかし、それだと軸足を置いて強い組織をつくっていくということができません。特に河村やGrapeのように、これからの時代をつくっていく人たちがスキルアップして成長していく環境をつくるためには、軸足を置く必要があるなと。

そこでビルディットとしての軸足の置き方として決めたのが、自社プロダクトの開発に重点を置くということでした。自社プロダクト開発を進めることで、「自分たちはこの旗のもとに集まっている」という意識が生まれますし、チームワークが生まれ、より自ら考えて行動していくようになり、そうした経験が成長の糧となり、成長速度を加速させていきます。

一方で、クライアントワークをなくそうとは思っていません。というのも、今はおかげさまでクライアントワークのほとんどが教育系の案件のため、自社プロダクト開発での私たちが悩んでいることとクライアントワークでの悩みが似ていることもあったりと、ビルディットとしてナレッジが蓄積できる案件が多いからです。

つまり、自社プロダクトに軸足を置きつつ、クライアントワークも進めることで、様々な方法論が資産化され、個人も組織も成長できるなと思っています。新しく入社された方にも、基本的には自社プロダクトに携わってもらう予定です。

そしてミッションとして「高品質な学びの仕組みをつくる」ということを掲げていますが、それが私たちの旗印であり、その旗印にメンバーもクライアントも集まっていただけているなと感じています。

 
 

河村:僕らが職域を超えて共創しているのも、ビルディットのミッションに共感しているからというのは大きいと思います。
だからこそ、エンジニアであればただ決められた仕様で開発するのではなく、その機能が何を解決するのかを考えたり、それがどういった高品質な学びに繋がっていくのかをデザイナーらと話したりして開発を進めているのだなと。

そして、そうしたプロセスが僕自身とても楽しく思っていますし、成長速度の加速に繋がっているなと感じています。
昨年に自社プロダクトをリリースしたときも、関わるみんなでUIを考え、プロトタイプをつくり、実際に触りながら改善していったのですが、みんなでユーザーにとって価値のある、高品質な学びの仕組みをつくろうという想いで進めていったからこそ、リリースしたときはとても大きな達成感がありました。

最後に河村さん、Grapeさんの今後の展望をお聞かせください。

河村:僕は、自らデザインを手掛けるということは現段階で考えているわけではないのですが、良いプロダクトをつくるためにも、もっとデザインの知識を身につけていきたいと思っています。

そのため、日報でデザイナーが今日やった仕事を報告しているのですが、それを見てどういった内容なのか理解できないときは、どんな仕事なのかと聞くのが一日の小さな楽しみです。
自ら学ぶことはもちろん、そのようにまわりにデザイナーがいる環境だからこそ、もっとコミュニケーションを取っていき、デザインの知識を活用できるエンジニアになりたいと思っています。

Grape:河村と同様で、もっと開発にまつわる知識をもっとインプットしていきたいというのが1つと、もう1つは自らデザインするだけでなく、デザイナーやエンジニアをマネジメントする立場でプロジェクトを進められるようになりたいと考えています。

過去に担当させてもらったアプリ開発では、メインデザイナーとして要件からローンチまですべて携わらせてもらい、大きな達成感を感じることができました。今後、マネジメントできるようになり、プロジェクトを進行できるようになれば、より大きな達成感を感じられるのではと思うと、とてもワクワクしています。