CREATOR INTERVIEW VOL.201
「議事録いらずの、歩くバックアップ」PM・喜多明生。その緻密なディレクションが守る、プロジェクトの「静かな熱量」。


MULTiPLE Inc.
【Member Interview】
喜多 明生|Akio Kita
大学卒業後、教育機関向けシステムの法人営業を経験。その後、動画制作チームの社内ディレクターを経て、2022年に株式会社マルチプルへ参画。現在はPM/ディレクターとして、Web制作から大規模イベント運営まで幅広い案件の戦略立案・進行管理・仕組み化を担当。元セパタクロー日本代表という異色の経歴を持つ。
「仕組み化」と「スピード」で、プロジェクトの設計図を研ぎ澄ます
マルチプルにおいて、PMはプロジェクトの成否を決める「設計者」です。
喜多さんを象徴する社内からの評価には、共通するキーワードがあります。それは「仕組み化」「スピード」「正確性」 です。
👤メンバーの声
「会議で発した内容を正確に覚えていて、必要な情報をすぐに取り出す。その正確な記憶力と瞬発力にいつも助けられています」
「議事録の作成スピードが驚くほど速く、かつ正確。スプレッドシートの関数を駆使して業務を仕組み化し、多くの案件を並行して捌く姿は、まさに『敏腕PM』の象徴です」
こうしたスキルは、単に「作業が早い」ということではありません。喜多さんにとって、これらはプロジェクトの「解像度」を上げるための武器です。
喜多:「周りからは『歩くバックアップ』なんて言われることもありますが(笑)、自分の中では、PMの役割を『チームがクリエイティブに集中するための土壌作り』だと定義しています。誰がいつ見ても状況がわかり、次にやるべきことが明確であること。そのために、議事録やスプレッドシートを徹底的に使いやすく整えます。私が情報の精度を担保することで、デザイナーやエンジニアといったパートナーが安心して自分の専門領域に潜り込める。そんな環境を作ることこそが、ディレクションの本質だと思っています」
「自ら動く」ことで見つけた、ディレクションの本質
入社当初からこうした確固たるスタイルを持っていたわけではありません。
前職では教育機関向けの法人営業や動画制作のディレクターを経験していましたが、当時はまだ「誰かがやってくれるだろう」という受け身の意識がどこかにあったといいます。
そんな喜多さんがマルチプルへの転職を決めたのは、「少人数の環境で、個の裁量を大きく持ち、自分の成長スピードを早めたい」という想いからでした。
喜多:「当時のマルチプルの実績を見て、ジャンルを問わず研ぎ澄まされた感性を形にしている点に惹かれ、『自分もその一員として、一からプロジェクトを動かしてみたい』と思ったんです。実際に入社してみると、大手組織とは違い、自分のディレクションがプロジェクトの成否にダイレクトに直結する環境が待っていました。最初はわからないことばかりでしたが、自分が動かないとプロジェクトが止まってしまうという緊張感が、主体性と責任感を育ててくれました。案件を自ら引っ張り、成功へと導く。その手応えが、今の大きなやりがいになっています」
現場を掌握し、議論を「ゴール」へ着地させる快感
喜多さんが仕事で最も「最高に楽しい!」と感じる瞬間。
それは、自らが描いたシナリオ(アジェンダ)通りに、議論が着実にゴールへ向かっていく時です。
喜多:「MTGが自分の用意したアジェンダ通りに進んでいくのは、非常に気持ちがいいですね。案件の中で『とりあえず喜多に聞いてみよう』という状況になることも多いですが、それも含めて 自分がプロジェクトを動かしているという手応え を感じられて楽しいんです。単に管理するだけでなく、その場の『議論の質』をコントロールし、合意形成へと導く瞬間に、PMとしての醍醐味があります」

その自信の裏側には、徹底的な準備があります。クライアントが何を求めているのか、パートナーが何に行き詰まっているのか。先回りして情報を整理し、議論の着地点をあらかじめ数パターン想定しておく。この「思考の準備量」こそが、喜多さんの強みです。
目指すのは「発注・受注」を超えた、対等なチーム作り
マルチプルが提供するのは、言われたものを作るだけの作業ではありません。クライアントと共に悩み、考えるパートナーシップです。
喜多:「単なる『依頼主と作業者』という関係ではなく、一つの課題を一緒に解決する『対等なチーム』でありたい。そのために、クライアントが本音で話しやすい空気感、いわゆる心理的安全性をいかに作るかを常に考えています。」
その姿勢が顕著に現れたのが、大規模な文化イベント「CINRA Inspiring Awards」のプロジェクトでした。Web、会場設計、演出、運営。多岐にわたるプロフェッショナルが入り混じる複雑な現場で、喜多さんは「全体を繋ぐハブ」として異なる専門領域を持つメンバー同士の橋渡し役を徹底しました。

喜多:「あえて自分が知っていることでも質問を投げかけたり、スコープ外のアイデアを提案したりすることもあります。PMだからといって守備範囲を決めつけるのではないか、『これ、いいんじゃないですか?』と一歩踏み込む。そうすることで、異なる専門性を持つ人たちの視点が交差し、プロジェクトの可能性が広がっていく。その過程で、自分の脳みそが拡張されるような感覚がありました」
ディレクションの力で、個々の専門性を最大化させ、一つの大きなうねりを作る。喜多さんはその中心で、常に冷静かつ情熱的にプロジェクトを導き続けます。
▼プロジェクト概要
初開催となるCINRA Inspiring Awardsを伴走支援
▼CINRA Inspiring Awards 公式サイト
CINRA Inspiring Awards Edition 2025 | CINRA
マルチプルという「穏やかなプロ集団」のすごさ
喜多さんが感じるマルチプルの魅力は、メンバー同士の「程よい距離感」と「穏やかさ」です。
少人数ながらも殺伐とした空気はなく、お互いに専門性を尊重し、丁寧に教え合える土壌があります。
喜多:「代表やメンバーから『どう思いますか?』と意見を求められ、同じ目線でゴールを目指せる。そんな『伴走』を実感できる瞬間が、このチームには溢れています」
領域を超え、価値を「形」にする職人でありたい
PMの仕事には、光の当たらない泥臭い調整も含まれます。
時には「誰の担当でもない、こぼれ落ちそうなタスク」を拾い上げることも。
喜多さんは、そうした「浮いたタスク」を拾うことを厭いません。「プロジェクトが円滑に回るためなら、どんな役割でもこなす」。派手な役割ではありませんが、誰かが動きやすくなるように静かに環境を整え、着実に形にしていく。
喜多:「『ディレクション』という言葉は形がないように見えますが、実は非常に職人的な側面があると思っています。小さなタスクの積み重ねが、最終的なクオリティを左右する。自分が拾った小さな違和感が、後で大きなリスク回避に繋がることもある。その目立たないけれど重要な役割に、誇りを持っています。
今後はデジタルで培った能力をあえて『手触りのあるモノづくり』に転用するなど、領域を決めつけず、新しい価値を形にしていきたいです」
共に「黒子」として、チームの可能性を最大化させる仲間へ
また、喜多さんはマルチプルの「未完成さ」にもポジティブな魅力を感じています。
制度が完全に整いすぎていないからこそ、自分たちでルールや仕組みを決めていける余地がある。それは、組織を自分たちの手で強くしていく面白さでもあります。
喜多:「完成された組織に乗っかるのではなく、そのプロセス自体を楽しめる人には、最高の環境だと思います。マルチプルらしさとは、 プロジェクトを回すために徹底的に『黒子』としての役割を担い、誰もやりたがらないような浮いたタスクを自ら拾いに行く姿勢 のこと。ディレクションを極めたい、あるいはチームのために動ける方と一緒に、新しい共創の形を作っていきたいですね」
そう語る喜多さんの視線は、自身のスキルアップだけでなく、マルチプルというチーム全体の未来も真っ直ぐに見据えています。
変わらない「芯」と、広がる夢。日本代表の集中力で歩む、10年後へのマイルストーン
仕事に対して極めてロジカルな喜多さんですが、その素顔は意外性に満ちています。
かつては「足のバレーボール」とも称されるアクロバティックな競技、セパタクローの日本代表として国内外のコートを駆け回っていたアスリート。一瞬の油断も許されない空中戦の中で培われた「瞬時の判断力」や「極限の集中力」は、今、複雑なマルチタスクを鮮やかに捌くPM業務の礎となっています。

休日は、映画を観ながらビールを楽しんだり、静かに編み物に没頭したりといった時間を大切にしています。一目ずつ、着実に形を成していく編み物は、緻密な仕事のスタイルともどこか重なる部分があるのかもしれません。
そして将来に対して、喜多さんの中には一つ、明確な目標があります。
「10年後はイギリスに移住して、大好きな宇多田ヒカルさんと友達になりたい」
こうした自由な理想を、自分の未来として真っ直ぐに描ける柔軟さ。それは、変化の激しいこの業界で自分を見失わずに走り続けるための、喜多さんらしいスタンスのようにも映ります。
喜多:「10年後に向けて、今できる最高のパフォーマンスを出し続ける。仕事もプライベートも、その本質は変わりません」

💡 おまけのミニQ&A:喜多さんの「素顔」をもっと知る
インタビュー本編では語りきれなかった、喜多さんのパーソナルな部分を少しだけご紹介します。
Q. 自分を「登山」の役割に例えるなら?
先頭の人をサポートする人。
Q. 4人のチームの中でのご自身のポジションは?
「人の名前辞書」兼「ご意見まとめ役(?)」ですね。
Q. オンとオフの切り替えのスイッチは?
たばこと、梅白湯。
Q. 学生時代はどんな子供でしたか?
勉強もろくにせず、ひたすら本を読んで外を駆け回る、理屈っぽい感じでした((笑))。
Q. 最近のちょっとした「ラッキー」は?
洗濯しようと思った上着から1000円札が出てきたことです。
Q. マルチプルの4人でどこかに行くとしたら?
ボウリング。それから、行き倒れるまで飲み歩きたいです。シラフの宮脇さんを引っ張り回しながら((笑))。
Q. 人生で一番影響を受けた本や映画は?
内緒❤️ 仲良くなったら、熱意を込めてお話しします!
【転載許可記事】※ 本記事は元記事を流用し、当社メディア向けに一部表現・構成を調整して掲載しています。

