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CREATOR INTERVIEW VOL.236

【ポート株式会社】「AIにはできない価値」をどう創るか? 自社プロダクトを成長させるインハウスデザイナーの真価と、組織が果たす役割

PORT INC.

ユーザーの課題に最上流から向き合うクリエイティブチームの使命

就職や転職を考える人向けのキャリア支援事業を中心に、近年ではエネルギー領域にも参入して急成長を続けるポート株式会社。その多彩なサービスの成長を裏側から支え、ユーザー体験を追求し続けている部門が同社のクリエイティブグループです。 利用者も目的も異なる多様な自社プロダクトをどうデザインし、どのように成功へと導いているのか。デザインという側面を事業や利益にどう結びつけようと考え、行動しているのか。 今回は、クリエイティブグループを牽引するシニアマネージャーの小杉 憲司氏と、主力転職支援サービスの専任デザイナーである海老沼 緋依氏に、クリエイティブグループが抱える課題や仕事に向き合う姿勢、さらにどんな人材を求めているのかを聞きました。


多角化する事業を精鋭13名で支える内製クリエイティブ組織

ポートの事業内容と、お二人の業務内容を教えてください。

小杉:ポートは、就職や転職などといったキャリアを考える人に最良な進路を提案する支援事業を展開しています。ユーザーが自分に合った企業と出会えるようなプラットフォームやマッチングの仕組みなど、さまざまな角度から情報提供や支援を実施しています。BtoC向けの事業だけでなく、企業の採用コンサルティングや集客支援、採用ブランディングといったBtoB向けの事業も展開しています。

ポートのミッションは「ビジネスとクリエイティブの融合で、期待を超える“価値”を創り出す。」
ポートのミッションは「ビジネスとクリエイティブの融合で、期待を超える“価値”を創り出す。」

さらに近年は生活インフラに関わるエネルギー領域に参入し、電気・ガス事業者向けの販促支援を手掛けるほか、2026年からは当社自身が電力供給事業を正式にスタートさせるなど、事業の多角化に踏み出しています。

私はクリエイティブグループのシニアマネージャーとして、管理監督者を務めています。メンバーの目標設計や評価といったピープルマネジメント全般をはじめ、グループの予算管理、採用人事なども担っています。

海老沼:私はクリエイティブグループでデザインを担当しており、主に自社サービスである「就活会議」の専任デザイナーとして業務に取り組んでいます。サービスの使いやすさや利用者の満足度向上を高めるデザインを考えるのはもちろん、利益をどう生み出すか、事業をどう成長させるかといった視点を常に持ちながらサービスを設計しています。

クリエイティブグループの体制や強みを教えてください。

小杉:クリエイティブグループは現在、約13名のメンバーで構成しています。一部の業務を外部のパートナーに依頼することがあるものの、社内のあらゆるデザイン業務を13名でほぼ内製化しています。

左からシニアマネージャー小杉 憲司氏、デザイナー海老沼 緋依氏
左からシニアマネージャー小杉 憲司氏、デザイナー海老沼 緋依氏

ポートでは多くのサービスを展開しており、その中でも「就活会議」や「キャリアパーク」などの主力事業には、サービスごとに2~3名の専任デザイナーを配置しています。新規事業や、WordPressで作成した複数のメディア系サイトには専任デザイナーを配置せず、他部署と今後の展開を調整しながら必要なメンバーを配置するようにしています。

事業が成長し、今後より拡大していくタイミングで改めてデザインチームを組成するなど、事業規模に応じて柔軟にメンバーを割り当てられるようにしています。限られたメンバーの能力を最大限発揮させられる運営体制こそ、クリエイティブグループの強みになっているのではと思います。

なお、クリエイティブグループは自社プロダクトのほかに、クライアントのドメイン配下でのメディア運営や、グループ会社のブランディングやサービス運用なども担っており、対応する領域は非常に広範にわたります。


成長を牽引するがゆえの壁。「デザインシステムの構築」という急務

クリエイティブグループは現在、どんな課題解決に向けて取り組んでいるのか教えてください。

海老沼:現場のデザイナーとして一番の課題と感じているのは、「自社サービスにおけるデザインシステムの整備と構築」です。例えば私が担当する「就活会議」は、当社が運営会社を買収する前も含めると約10年の歴史があるプロジェクトです。しかし、この規模感のサービスでありながら、これまで明文化されたデザインルールやシステムが存在しませんでした。とにかくPDCAを最優先で回し続けて運用してきたのです。

自社プロダクト|就活会議
自社プロダクト|就活会議

しかし現在、当社は事業拡大に伴い、開発に携わる部門だけでもエンジニアを含めて約30名の規模に膨らんでいます。「就活会議」に関わるチームを見ても、さらに5つほどの小さなグループに分かれており、バラバラに動いている状態です。

これまでは、長く一緒に仕事をしてきたデザイナー同士の「阿吽の呼吸」でなんとか品質を担保できました。しかし、サービスに関わるメンバーが増えた今、共通ルールがなければ立ち行かないフェーズへと突入しているのです。

属人化していたデザインの思想を言語化し、ルール化しなければならないわけですね。

海老沼:はい。もっとも、これまで蓄積したノウハウや業務の流れを可視化、言語化するのは容易ではありません。他社の事例を参考にするなどして、まったく知見のない状態から手探りでデザインシステムを整理し始めています。プロジェクトマネージャーやフロントエンドエンジニアなど、関わるステークホルダーが多岐にわたるため、調整は難航し作業が長期化しているのが実情です。

デザイナー海老沼氏
デザイナー海老沼氏

言語化に向けた取り組みを具体的にどのように進めているのでしょうか。

海老沼:まずはデザイナー間で「こうしたい」という軸となる思想をしっかりと固めるべきだと考えます。しかし、既存システムがどのような設計思想で作られたのか、その背景を完全に読み解くのが難しく、思想や方向性を決めるのに苦労しています。

小杉:サービスを利用するユーザーにいち早く価値を提供するため、PDCAを短いサイクルで回すことに注力してきました。その結果、今になってデザインの負債が顕在化し、これまで見過ごしてきた土台をいよいよ築き直さなければならない状況となっているのです。

こうした課題は「就活会議」に限りません。他のサービスにも当てはまります。まずは「就活会議」のデザインシステムをしっかり整理し、これを機に他のプロダクトにも同様の取り組みを横展開していきたいと考えています。


募集するリードデザイナーに求める役割と高度なスキル

クリエイティブグループの採用についてお聞きします。デザインシステムの整備と構築という難題を抱える中、クリエイティブグループとしてどのような人材を求めているでしょうか。

小杉:現在、マネージャークラスのリードデザイナーを求めています。入社後、まずは特定のプロダクトのリードデザイナーとしてプレイング領域に集中してもらいますが、ゆくゆくは複数の事業を横断的に見るプレイングマネージャーのような役割を期待しています。クリエイティブグループが直面するデザインシステムの整理や構築にも携わってもらいたいです。

どのようなスキルや経験を持っている人が望ましいのでしょうか。

小杉:スキル面で求めるのは主に2点です。1つは、高度な情報設計力です。複雑なビジネス要件や多機能なサービスを、しっかりと画面の構造に落とし込めるスキルは必須です。もう1つはビジュアルクラフト力です。ターゲットユーザーの感情に寄り添い、パッと見た時の信頼感やワクワク感を演出できるスキルも求めています。

とりわけ、クラフト力の高さは最低条件として外せません。「クラフトの部分と情報設計」を高いレベルで完結できる人こそ、当社が求めるリードデザイナーに相応しいと考えます。サービスの数値改善などはマーケティング部門の担当となることが多く、必ずしもスキルや経験は問いません。

UXとUI、両方のスキルを高次元で併せ持つ人は市場でも希少だと思います。選考ではどのような点を見極めているのでしょうか。

小杉:確かに両方を完璧に兼ね備えている人に出会うのは簡単ではありません。そのため、選考では面接だけでなく、独自の課題に取り組んでもらい、アウトプットの質で両スキルのレベルを見極めるようにしています。

過去のポートフォリオを見るだけでは、テンプレートを使って制作したものか、ゼロから作り上げたものかの判断がつきにくいことがあります。そこで、あえてビジュアルを作り込まなければならない実践的な課題を取り組んでもらうようにしています。

成果物を提出するだけでなく、「なぜこのように作ったのか」といった意図をプレゼンテーションで説明する機会も設けています。課題に取り組んでもらうことで、応募者のクラフト力のレベルはもちろん、なぜそのデザインにしたのかという「思考のプロセス」を明確に把握できるため、スキルマッチを高い精度で図ることができます。

現場の海老沼さんから見て、リードデザイナーにはどのような視点を持っていてほしいですか。

海老沼:デザインを説明する際、主観ではなくシステムを設計した担当者の意図や、「ユーザー体験的にどうなのか」といった視点を第一の根拠としてロジカルに話せる人が望ましいと思います。「このデザインが好きだから」や「デザイン的にこちらの方がかっこいいから」といった主観を持ち込まず、システムやUXの観点から最適解を導き出せる人がリードデザイナーに向いているのではないでしょうか。さらに、当社で活躍するなら、さまざまな関係者と合意形成を図れるスキルは必須だと思います。

左からシニアマネージャー小杉氏、デザイナー海老沼氏
左からシニアマネージャー小杉氏、デザイナー海老沼氏

小杉:さまざまな事業を展開する当社は、変化が非常に激しい環境と言えます。こうした変化を前向きに捉え、自分で考えて行動できるマインドも重要です。

「決まったことをやる」や「指示を待つ」ではなく、「もっと良くするにはどうすればいいか」や「周囲をどう巻き込めばいいか」を自ら発信できる人こそ活躍できると思います。さらに、中小規模のデザイン組織を牽引した経験があり、ビジネスサイドと事業について対等にディスカッションできるような人なら、ポートという会社は間違いなく大きな活躍の場となるはずです。


AI時代におけるデザイナーの真価と、ポートが目指す未来

クリエイターにとって、ポートで働くやりがいや醍醐味はどのような点にあると考えますか。

小杉:多くの制作会社では、最高の品質で「納品」した時点がゴールになることが少なくありません。しかし当社のような事業会社の場合、運用しながらサービスを育てていく過程に携われるのが大きな魅力です。自分が提案したり実装したりしたデザインが、実際のユーザー行動や事業の数字にどのような影響を与えたのかを、ダイレクトな肌感としてつかめます。サービスの成長を間近で見届けられるのは、インハウスデザイナーならではの面白みだと思います。

海老沼:ダイレクトな肌感は、毎日の業務で強く感じますね。例えば「就活会議」のチームでは、事業部門 or エンジニア、デザイナーが全員集まって毎朝1時間ほどのミーティングを実施しています。そこでは自分が担当したデザインに対し、事業部門側から「このデザインにしてから数字がすごく良くなったよ」などのフィードバックをすぐにもらうことができます。

部門や職種に関係なく、いろいろな意見や指摘を直接もらえるんです。こうした環境はすごく刺激になりますし、ポートでしか味わえないやりがいなのではと感じます。チーム全員で喜びを分かち合えるのはモチベーションに繋がりますし、チームとして強い一体感も仕事の励みになりますね。

クリエイティブグループとしての今後の展望や、目指しているビジョンがあれば教えてください。

小杉:まずは直近の課題であるデザインの負債解消と、強固なデザインシステムの構築を成し遂げ、それを他サービスへも波及させていくことに注力します。

中長期的には「AIの活用」も重要テーマに見据えています。現在、ユーザーの情報収集や意思決定のあり方は、AIの登場によって劇的に変化しています。当社でもすでにサービス内にAIを実装し、例えば就活生が選択肢をタップするだけで自己分析文章が自動生成される機能や、学生の質問に対してAIが答える機能などを提供しています。ユーザーが日常的にAIに触れ、求める体験の期待値がどんどん高まる中、デザイナーはただ画面を作るだけではなく、より良い体験を提供できるように進化していかなければなりません。

シニアマネージャー小杉 憲司氏
シニアマネージャー小杉 憲司氏

AIの活用が当たり前になる中、デザイナーの役割はどう変化していくと考えますか。

小杉:AIを使えば60点や70点のデザインはすぐ制作できるわけですから、AIにはできない価値を創出できるようになるべきだと考えます。

デザイナーと言えども事業の課題を深く理解し、ビジネスやシステム, ユーザーといった多角的な視点から物事を分析できるようになるべきです。デザイナーという専門的な視点ではなく、あらゆる状況を踏まえたゼネラリスト的なアウトプット能力こそ身に付けるべきだと思います。

AIが制作したデザインに対し、最終的な意思決定と、独自の体験価値を考えて上乗せできるデザイナーへとステップアップすべきです。

これこそが、AI時代に活躍できるデザイナーのあるべき姿で、当社のクリエイティブグループのメンバーが目指すべき姿だと考えます。

最後に、ポートのクリエイティブグループで働いてみたいと思っている読者にメッセージをお願いします。

小杉:ポートのクリエイティブグループは、事業の成長とともにまだまだ進化の途中です。だからこそ、自分の手で仕組みを作り、デザインの力で事業を牽引していくという大きな裁量とやりがいがあります。成果物をただ作って満足するのではなく、ビジネスの結果まで深くコミットし、AI時代を生き抜くデザイナーとしての確固たる価値を証明したい人。ポートならその力をいかんなく発揮できると思います。

海老沼:日々新しい技術が登場する中で、書籍で学ぶのでは追いつかないほどのスピードで環境が変化しています。こうした変化を楽しいと思える人、変化に追随するためにアンテナを高く張って貪欲に学べる人は、ポートで働くことがきっと楽しいと思えるはずです。自分のこれまでの経験やスキルをリードデザイナーとして活かしたい人は、ぜひポートの「門」を叩いてほしいなと思います。