アカウント
メニュー
producer

マーケティングファネルとは?種類から活用法まで詳しく解説

  • 更新日 : 2025/08/21

「マーケティングファネル」とは、顧客が商品やサービスを認知し、購入に至るまでのプロセスを可視化するフレームワークです。しかし、「もう古い」といった意見が聞かれることもあります。

本記事では、マーケティングファネルの基本的な概念から、代表的なファネルの種類、そして現代における有効性や課題について詳しく解説します。

directordirector

マーケティングファネルとは?

マーケティングファネルとは、顧客が製品やサービスを認知してから購入に至るまでのプロセスを、漏斗の形に図式化したモデルです。

漏斗は入り口が広く、下にいくほど狭くなっていきます。検討が進むにつれて見込み顧客の数が絞り込まれ、最終的に購入に至る顧客は一部になる、という顧客の流れを表現しています。

マーケティングファネルを用いるメリットは、企業は顧客がどの段階で離脱しているのか(ボトルネック)を特定できることです。感覚的になりがちなマーケティング活動をデータに基づいて分析し、戦略的に改善していく際に役立ちます。

MOREWORKSで求人を探す

代表的なマーケティングファネル3選

マーケティングファネルには、目的や着目する顧客のフェーズによって、いくつかの種類が存在します。ここでは、特に重要で基本的な3つのファネルの特徴と役割を解説します。

パーチェスファネル

パーチェスファネルは、最も古典的で基本的なマーケティングファネルです。見込み顧客が購入に至るまでのプロセスを捉えることを目的としています。主に新規顧客獲得の文脈で用いられます。

パーチェスファネルは、大きく分けて3つの段階で構成され、各段階は英語の頭文字をとってTOFU、MOFU、BOFUと呼ばれます。

TOFU (Top of the Funnel)

【段階】
潜在顧客が自社の製品やサービスの存在を初めて知る段階

【ターゲット】
まだ具体的なニーズを自覚していない層

【施策例】
・SEO対策を施したブログ記事の作成
・SNSでの情報発信
・Web広告の配信
・プレスリリースの発表など

MOFU (Middle of the Funnel)

【段階】
課題解決のために情報収集を行い、複数の選択肢を比較検討している段階

【ターゲット】
自身の課題を認識し、解決策を探している層

【施策例】
・ホワイトペーパーの提供
・ウェビナーの開催
・製品資料の作成
・メールマガジンの配信など

BOFU (Bottom of the Funnel)

【段階】
購入の意思決定を行う最終段階

【ターゲット】
購入意欲が非常に高い層

【施策例】
・無料トライアルの実施
・導入事例の紹介
・個別相談会の開催
・クーポンの配布など

インフルエンスファネル

インフルエンスファネルは、顧客が商品を購入した「後」の行動に着目したモデルです。パーチェスファネルが逆三角形の形をしているのに対し、インフルエンスファネルは三角形の形をしています。顧客がファンとなり、推奨者となっていくプロセスを以下の3段階で表現しています。

・継続:顧客が製品やサービスを継続的に利用する段階
・紹介:満足した顧客が、知人や友人に製品やサービスを推薦する段階
・発信:顧客が自発的にSNSやブログで良い口コミを発信する段階

ダブルファネル

ダブルファネルは、「パーチェスファネル」と「インフルエンスファネル」を組み合わせたモデルです。

砂時計のような形をしており、新規顧客の獲得から購入後のファン化までを表現しています。さらに、そのファンが新たな顧客を呼び込むまでの一連のサイクルも可視化しているのが特徴です。

マーケティング活動の全体像を俯瞰できるほか、「新規顧客の獲得」と「既存顧客の育成」という2つの側面から戦略を立てられます。例えば、「新規獲得は順調だが、リピート率が低い」といった課題を明確に捉えることが可能です。

マーケティングファネルが「古い」と言われる理由

非常に便利なフレームワークであるマーケティングファネルですが、近年「もう古い」「時代遅れだ」という指摘も増えてきました。ここでは、マーケティングファネルが古いと言われる理由を解説します。

消費者行動が非線形化しているため

従来のファネルは、顧客が「認知→興味→検討→購入」という直線的なステップを踏むことを前提としています。しかし、インターネットとスマートフォンの普及により、現代の消費者の行動は非常に複雑で「非線形化」しています。

従来は、「SNS広告で商品を知る」→「公式サイトで詳細を確認する」→「複数のレビューを比較する」→「ECサイトで商品を購入する」いった流れが一般的でした。

しかし近年は、途中で離脱し、後日YouTubeの紹介動画を見た後に、再びECサイトにアクセスし購入するといった行動がよく見られます。

このように、消費者はファネルの各段階を複雑に行き来するため、単純な漏斗のモデルでは動きを捉えきれないのです。

ZMOTの概念が広まったため

ZMOTとは、「顧客が店舗で商品を見る前に、インターネット検索やレビューを通じて購入の意思決定をほぼ終えている」という考え方です。「ゼロ番目の真実の瞬間(Zero Moment Of Truth)」とも呼ばれる概念で、2011年にGoogleによって提唱されました。

現代の人々は、購入前に徹底的に情報収集を行います。つまり、「認知」から「検討」までのプロセスがオンライン上で完結し、短時間で行われるケースが増えているということです。

オンライン上で購入の意思決定を行う「ゼロ番目の真実の瞬間」を、従来のファネルでは十分に考慮できていないという指摘があります。

現代でもマーケティングファネルが有効なシーンとは?

「古い」という意見もありますが、マーケティングファネルは、以下のシーンにおいては依然として非常に有効なフレームワークです。

ビジネスの全体像を把握するとき

マーケティングファネルは、チーム内で「どの段階の顧客にアプローチするのか?」という共通認識を持つために役立ちます。「今期はMOFUの施策を強化しよう」といったように、ファネルは円滑なコミュニケーションを助けます。

各施策の役割を明確化するとき

数あるマーケティング施策が、ファネルのどの段階に貢献するのかを整理することで、施策の目的が明確になります。例えば、「この広告は認知拡大(TOFU)目的だから、クリック率よりインプレッション数を重視する」といった判断が可能になります。

大局的なボトルネックを発見するとき

細かい動きは捉えきれなくても、顧客がどの段階で大きく離脱しているのかというマクロな視点での課題発見には、ファネル分析が役立ちます。

【最新版】進化した3つの次世代マーケティングモデル

従来のファネルの課題点を補い、現代の複雑な消費者行動に対応するために、新しいマーケティングモデルが提唱されています。ここでは、2025年のマーケティング戦略を考える上で欠かせない、進化した3つのモデルをご紹介します。

フライホイールモデル

引用元:https://blog.hubspot.jp/marketing/our-flywheel
引用元:https://blog.hubspot.jp/marketing/our-flywheel

フライホイールとは、「はずみ車」を意味し、HubSpot社によって提唱された循環型の成長モデルです。従来のファネルは「顧客獲得」をゴールとしていますが、フライホイールモデルは「顧客体験」を中心に、以下の3段階で構成されています。

・Attract:役立つコンテンツや情報を提供し、潜在顧客を惹きつける
・Engage:顧客が抱える課題の解決をサポートし、深い信頼関係を構築する
・Delight:期待を超えるサービスやサポートを提供し、顧客を成功・満足に導く

満足した顧客は、リピート購入や他者への推奨を通じて、新たな顧客を惹きつける力となります。顧客自身がビジネス成長の「エンジン」となる点が、フライホイールモデルの最大の特徴です。

ルーピングファネル

ルーピングファネルは、現代の消費者が購入を決めるまでに、何度も「情報収集」と「検討」を繰り返す点に着目したモデルです。基本的なファネル構造の中に、「検討ループ」という円環が組み込まれているのが特徴です。

顧客はファネルの途中でSNSでの評判を再確認したり、別の商品のレビュー動画を見たりと、ループ構造の中を何度も回遊します。

一度カートに入れた商品を、数日後にリターゲティング広告を見て購入するといった行動も、ルーピングファネルで説明できます。非線形な顧客行動をより現実に即した形で捉えようとするモデルです。

マイクロモーメント

マイクロモーメントは、人々が「知りたい・行きたい・したい・買いたい」と思った瞬間に、反射的に検索する行動を指します。

ファネルのような「段階」ではなく、顧客の欲求が高まる「点」で捉えるのが特徴です。マイクロモーメントが起こった際に、企業が顧客の求める答えを的確に提供すると、購買行動に強い影響を与えられます。

自社に合ったマーケティングファネルを活用するポイント

様々なモデルを理解した上で、最も重要なのは自社のビジネスにどう活かすかです。ここでは、理論を実践に移すための具体的な活用ポイントを解説します。

ファネルモデルの作り方とボトルネックの特定方法

以下のような手順で、自社独自のファネルを定義し、ボトルネックを特定しましょう。

1.目的・目標の設定:ファネル分析を行う目的を明確にし、KPIを設定する
2.ペルソナ設定:自社の理想的な顧客像(ペルソナ)は誰なのかを明確にする
3.行動プロセスの洗い出し:ペルソナが商品を認知して購入し、ファンになるまでの具体的な行動を時系列で書き出す
4.タッチポイントのマッピング:自社と顧客の接点を特定する
5.ボトルネックの特定:離脱率が極端に高い箇所を見つける

例えば、「Webサイトへのアクセスは多いが、問い合わせ件数が少ない」という場合は、ファネルの中間部(MOFU)に課題があると判断できます。

各段階におけるKPI設定と効果測定のポイント

次に、ボトルネックを改善するための施策と効果測定の指標(KPI)を設定します。各段階で見るべきKPIの例は、以下の通りです。

【TOFU(認知)】
・サイトのPV数
・SNSのインプレッション数・リーチ数
・指名検索数

【MOFU(興味・関心)】
・ 資料ダウンロード数
・セミナー申込数
・サイト訪問数

【BOFU(購入)】
・コンバージョン率(CVR)
・購入単価(CPA)
・広告費用対効果(ROAS)

【購入後(ファン化)】
・ LTV(顧客生涯価値)
・リピート率
・NPS(顧客推奨度スコア)

これらのKPIを定期的に観測し、施策の効果を客観的に評価して、PDCAサイクルを回していくことが重要です。

カスタマージャーニーマップとの連携で施策を具体化する

ファネルがマーケティング全体の「骨格」だとすれば、カスタマージャーニーマップは顧客の行動や感情をより詳細に描く「肉付け」の役割を果たします。

カスタマージャーニーマップとは、ファネルの各段階における顧客の行動や思考を時系列で整理したものです。顧客が「どのような情報に触れ、何を考え、どう感じ、どんな行動をとるか」を可視化します。

ファネルとカスタマージャーニーマップを連携させることで、より具体的な課題仮説を立てることが可能になります。

例えば、MOFUの段階で離脱が多い原因は、料金体系が分かりにくいからかもしれません。そういった気づきを得られれば、料金ページの改善や分かりやすい比較表の作成などの施策を検討できます。

まとめ

本記事では、マーケティングファネルの基本から応用、そして現代的な次世代モデルまでを網羅的に解説しました。

マーケティングファネルやその進化系モデルは、単なる分析のフレームワークではありません。本質は、顧客一人ひとりの行動や心理を深く理解しようとする「思考法」そのものにあります。

消費者行動が複雑化する現代において、マーケティングファネルの重要性はますます高まっています。時代に合わせて最適なモデルは変化しますが、「顧客を中心に据えてビジネスを考える」という核となる思想は不変です。

ぜひ、本記事で紹介したファネル思考を活用して自社のマーケティング活動を見直してみてください。顧客とのより良い関係を築きながら、ビジネスの成果を最大化しましょう。

▼関連記事
マーケティング知識の基礎と実践ガイド!定義・種類・業務内容を解説

producerproducer

人気のプロデューサー・マーケター求人

クリエイティブプロデューサー/ビジネスプロデューサー募集

TANGLE Inc.TANGLE Inc.

タングルは、ミッション・バリュー・ビジョンなど企業や事業の在り方からコンセプトやパーパスの開発、CI/VI/BIの設計、UI/UXの定義・開発、ブランド戦略・マーケティング戦略の立案、広告/コミュニケーションプランニング、クリエイティブ全般の企画と実制作、マス媒体+デジタル媒体のメディアプランニングと広告運用、サービスのオペレーションまで幅広く手掛けています。 クリエイティブにおいてもグラフィックや映像からxRなどデジタルの先進的な手法まで、顧客の最適な課題解決のために制限なく対応。 そんな同社ではただいまプロデューサー人材を募集中です。 このポジションでは顧客折衝やコミュニケーション戦略の立案、実施に向けたプロジェクトマネジメント、プロデューシング、および案件開拓を担っていただく想定で、ファッション、ビューティー(美容)、スポーツ(サッカー)、飲料(お酒)などジャンルを限定せずさまざまな案件を手掛けていただきます。 ブランディングや広告、キービジュアル開発からWebサイト、グラフィック広告やプロモーションツール、サイネージや動画まで、あなたの経験を活かし、伸ばしながら価値向上に貢献していただくことを期待します。

  • 東京
  • 中途 / 契約
  • 450万~900万

【プロデューサー候補】さまざまな種類のプロジェクトを推進するプロジェクトマネージャー募集

Fabrica.inc.Fabrica.inc.

広告プロモーションやサービス開発、エンターテイメントなど多岐にわたる領域のクライアントワークで、プロデューサーと一緒に、プロジェクトの司令塔として進行管理業務を行っていただきます。 【業務内容】 - 予算管理 - スケジュール管理 - スタッフ管理 - クオリティ管理 Webサイト、アプリ制作、インスタレーション制作、システム開発、映像制作などの中から、ご自身の得意領域を主軸として、志向に合わせて未経験領域にもチャレンジしていただける環境があります。

  • 東京
  • 中途
  • 450万~800万

個性と才能あふれる仲間と高いアウトプットの次元へ挑むプロデューサー

AID-DCC Inc.AID-DCC Inc.

さまざまな企業のブランディング、インタラクティブプロモーション、新規事業などの企画・制作において、プロデューサーまたはプランナーとして携わっていただきます。 オリエンなどは職種に関係なく全員が参加するようにし、ブレストにもできるだけ参加する。互いの専門領域をミックスし新しい発想や考え方を大事にしています。

  • 東京
  • 中途 / 契約
  • 500万~700万