CREATOR INTERVIEW VOL.199
プランナーからカメラマンまで全て自社で手掛ける。ワンストップ体制が生み出す、ITPコミュニケーションズの制作力


株式会社ITPコミュニケーションズ
クライアントの課題に最上流から向き合い、コンテンツ制作をワンストップで手掛ける制作チームとは
クライアントの多様なニーズに応えるため、プランナーやディレクターをはじめコピーライター、デザイナー、カメラマンなど各分野のプロフェッショナルが集結する株式会社ITPコミュニケーションズ。親会社である株式会社ITPとともに、企画の最上流から納品までワンチームで向き合っています。今回は、ITPコミュニケーションズのクリエイティブ部門を率いる東日本制作本部 制作1部 次長 アートディレクター 田中純子氏と制作2部長 アートディレクター 大磯輝雄氏にインタビュー。専門家集団でありながら、チームとしてのコミュニケーションを何より大切にする同社の社風、クリエイターの働きがい、そして独自の成長環境について詳しくお聞きしました。
企画から撮影、実装まで。全てを内製化するワンストップ制作体制
はじめに、御社における事業の強みについて教えてください。
大磯: 親会社である株式会社ITPの営業担当が獲得してきた案件の制作に特化している点です。そのため社内に営業担当はいません。クリエイターが制作に集中できる環境となっているのが大きな特徴です。カタログやWebサイト、ノベルティ制作など、依頼ごとに求められるアウトプットは多岐にわたりますが、私たちはそのほぼ全てを外注せず、社内メンバーだけで完結しています。
プランナーやコピーライター、さらには撮影スタジオまで社内に構えている制作会社は非常に珍しいと思います。内製化にこだわる理由は?
大磯: 大手クライアントの様々な要望に応えるためです。もともと当社は、東名阪のグループ制作会社3社が統合して誕生しました。各社が大手百貨店という大きなクライアントの幅広い要望に応えるために多様なクリエイターをそろえ、その体制が統合後も引き継がれているのです。
2025年9月時点では制作部門だけで東日本(72名)、中日本(名古屋、35名)、西日本(大阪、73名)の3拠点に合わせて合計約180名ものクリエイターが在籍しています。各拠点に同じようなポジションのクリエイターがいるため、例えば東日本部門の案件が立て込んでも他拠点のチームに引き継げるわけです。こうした社内体制の柔軟性は他社にない大きな強みではないでしょうか。
成り立ちそのものが強みに繋がっているのですね。都内の中心に専用の撮影スタジオがあるというのも驚きです。
大磯: 実は、最初からスタジオを持っていたわけではありません。「定期的に撮影の仕事があるのに外注するのはもったいない」と判断し、スタジオを始めたという経緯があります。都内では、東日本制作本部(千代田区外神田)から徒歩圏内の本郷スタジオに加え、東陽オフィス(江東区東陽町)にも専用の撮影スタジオを所有しており、スタジオは2拠点体制となっています。

田中: 百貨店などのカタログを制作しているため、食品、コスメなどの物撮りが非常に多くなります。繁忙期には社内に在籍する3人のカメラマンだけでは足りず、外部の方にお願いすることもあるほどスタジオはフル稼働していますね。アートディレクターやデザイナーが撮影に付きっきりになることも多く、1ヵ月ずっとスタジオにいることも珍しくありません。
内製化しているからこそ、お客様の細かな要望にもスピーディに対応できるわけですね。
田中: それに加えて、キャラクターのライセンス業務や、ノベルティのグッズ企画・制作も手がけています。社内にはイラストが得意なデザイナーもいるので、イラスト制作の依頼を受けることなどもあり、業務の幅は広く「何か困ったことがあればITPコミュニケーションズに相談する」という信頼関係を築けていることが、私たちの価値だと感じています。
チームの力を最大化する密なコミュニケーション
仕事を進める際に意識していることはありますか?
田中: お客様の「カタログを作りたい」というご要望に対し、その背景にある課題を深掘りすることに努めています。「どんなメッセージを伝えるべきか」「Webサイトや動画とどう連携させるか」などの効果的なアプローチを考えるようにしています。その際、課題に応じてプランナーやWebディレクターなど、最適なメンバーをすぐにアサインしてチームを組めるのが社内体制の強みですね。親会社の営業担当者も同じビル内に勤務しているので、常に密なコミュニケーションを取ってお客様の要望を詳しく聞きながら仕事を進めています。
大磯: さまざまな職種のメンバーが1つのチームとしてクライアントの課題解決に向き合うには、円滑なコミュニケーションが欠かせません。些細なことでも気軽に確認したり相談したりできる社風を育み、醸成しているのがITPコミュニケーションズの強みであり、こうした雰囲気づくりは仕事を進める上で特に意識しています。
偶発的なコミュニケーションがチームワークを高める上で重要になることもありますしね。
田中: オフィスにはワンフロアに多くのメンバーが集まっているので、誰かの声が聞こえる賑やかな環境です。コミュニケーションは必然的に生まれるので、孤立することはありません。
社風については、「温和な方が多いため雰囲気が良い」という声をよく聞きます。年に2回、期末には50人規模の全社的な飲み会があったり、有志でお花見に行ったりと、業務外での交流も盛り上がります。

大磯: 個人を孤立させないためのフォロー体制を整えています。例えば中途で入社したメンバーには、たとえ経験者であっても、会社のやり方に慣れるまでは必ず指導担当がついて2人体制を敷いています。打ち合わせにはリーダーも同席するなど、一人で抱え込まないようサポートしています。
採用で大事にしていることと、同社で輝くクリエイター像
採用で重視していることはありますか?また社員さんで共通する特徴があれば教えてください。
大磯: スキルや実績、経歴はもとより、人柄や協調性も重視しています。個人ではなくチームの一員として周りと協力しながら仕事を進められる方が向いていると思います。
田中: スタッフはコツコツとものづくりに励む真面目なメンバーが揃っています。普段は真面目ですが、実は面白い趣味を持っていたり、仕事以外で個人的な制作活動をしていたりする人も多く、そうした活動がお互いの刺激になっています。
たとえばデザイナーとして入社後、プランナーや動画クリエイターなど他の職種へキャリアチェンジすることは可能なのでしょうか?
大磯: もちろん本人のやる気次第で可能です。私自身、もともとグラフィックデザイナーでしたが、会社がWeb分野に力を入れ始めた頃に、自ら希望してWedデザイナーに転向しました。他にもデザイナーから動画チームへ移ったメンバーもいます。本人の意欲と会社の強化したい分野や人員のバランスが合えば、柔軟にキャリアを築いていける環境です。
「つくるだけ」で終わらない。未来を見据えたクリエイターの成長戦略
今後、会社として、またチームとして挑戦していきたいことがあれば教えてください。
大磯: Web制作を担う私の部署では、デジタルマーケティング領域の強化を急務と考えています。これまではデザイン性を重視したご依頼も多かったのですが、今はそれだけでは通用しません。お客様が投資する以上、Webサイトがもたらす「効果」をきちんと提示する必要があります。そのために、外注に頼るのではなく、まずは社内のディレクターを中心にGoogle Analyticsなどを用いた効果測定や分析、MAツールの活用といったスキルを習得し、その知識をチーム全体に広げて専門性を高めていきたいと考えます。
制作会社でありながら、マーケティング領域まで踏み込んでいくのですね。
大磯: はい。お客様からそういったご相談をいただくケースも増えており、制作して終わりではなく、その後の成果まで責任を持つことが、これからのクリエイターには不可欠だと感じています。UIやUXの観点から使いやすさや成果を突き詰めれば、必ずしも「かっこいい」だけが正解ではなくなっています。Webサイトを通じて本質的な価値を提供できるチームを目指しています。
さらに、AIの全社活用も進めています。社内にはAI分野に精通したメンバーがおり、その知見を活かして企画書の自動作成など業務効率化を推進しています。講師として社内セミナーを実施してくれるので、組織としてAIの活用ノウハウを蓄積できればと思います。
グラフィックデザインチームでは、どのような取り組みをされていますか?
田中: 私のチームでは若手メンバーが増えていることもあり、定期的にデザインの勉強会を実施しています。チームミーティングの時間を使って、担当者がトレンドや気になったデザインなどを持ち回りで発表するんです。若いメンバーから「推し活をAIでやる」といったトレンドを教えてもらうこともあり、世代を超えてお互いを高め合える良い機会になっていますね。こうした場で新しい表現や技術をインプットし、楽しみながらスキルアップできる環境を大切にしたいです。ここで得た知識が、いつか新しいビジネスに繋がっていけば嬉しいなと考えています。

最後に、この記事を読んでいるクリエイターの方へメッセージをお願いします。どのような方と一緒に働きたいですか?
田中: 私は以前、フリーランスとして活動していましたが、「安定」を求めてこの会社に入社しました。一番の魅力は「安定した基盤の上で、影響力の大きな仕事に挑戦できること」だと感じています。フリーランス時代には関われなかったような、全国に何十万部も配られるカタログ制作などの仕事には、大きなやりがいがあります。自分の実力をもっと大きなステージで試したい、ワンランク上の仕事に挑戦したいなど考えている方には、最適な環境だと思います。社員の定着率が高いので、腰を据えてクリエイターとして成長し続けたい方には、ぜひ一度話を聞きに来ていただきたいですね。
大磯: 私たちの仕事は、代理店を介さずお客様と直接やり取りできるのが大きな魅力。お客様の生の声を聞き、課題解決に向けて並走できるのは、クリエイターとして大きなやりがいになるはずです。常に全力疾走するのではなく、最高のパフォーマンスを長く発揮しながら仕事を進められる環境でもあります。チームで働くことを楽しみ、大きな仕事に責任感を持って取り組める方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

