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マーケティングにおける「顧客ロイヤルティ」の重要性を徹底解説

  • 更新日 : 2025/08/13

現代のマーケティングにおいて、新規顧客の獲得と同じくらい重要視されているのが、「顧客ロイヤルティ」の向上です。市場が成熟し、商品やサービスがコモディティ化する中で、顧客に選ばれ続けるためには、単なる満足を超えた特別な関係性を築く必要があります。

本記事では、マーケティングにおけるロイヤルティの本質と重要性、具体的な測定方法、ロイヤルティを高めるための戦略を網羅的に解説します。

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目次
マーケティングにおける顧客ロイヤルティとは?「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」の違いLoyalty(ロイヤルティ)の意味Royalty(ロイヤリティ)の意味顧客ロイヤルティの2つの側面心理ロイヤルティとは行動ロイヤルティとは4象限で理解する顧客の状態真のロイヤルティ(心理◎、行動◎)
見せかけのロイヤルティ(心理×、行動◎)
潜在的ロイヤルティ(心理◎、行動×)
ロイヤルティなし(心理×、行動×)
マーケティングにおける顧客ロイヤルティがもたらすメリットメリット1:リピート率とLTV(顧客生涯価値)の最大化メリット2:価格競争からの脱却と安定した収益基盤の構築メリット3:口コミによる新規顧客獲得コストの削減メリット4:解約率の低下とブランドイメージの強化顧客ロイヤルティに似た概念との違い顧客満足度(CS)と顧客ロイヤルティの違い顧客エンゲージメントと顧客ロイヤルティの違い顧客ロイヤルティを可視化する手法NPS(ネット・プロモーター・スコア)とはLTV(顧客生涯価値)とはCAC(顧客獲得コスト)との関係性顧客ロイヤルティを高める「ロイヤルティプログラム」とはポイント・階級型有料会員型価値共創・パーパス拡張型経済圏拡張・連携型まとめ

マーケティングにおける顧客ロイヤルティとは?

顧客ロイヤルティとは、顧客が特定のブランドや商品、サービスに対して抱く「信頼」や「愛着」のことです。単に満足している状態を超え、「このブランドが好き」「これからも使い続けたい」というポジティブな感情を伴います。

信頼と愛着があるからこそ、顧客は競合の魅力的なオファーにも揺らがず、そのブランドを選び続けてくれるのです。顧客ロイヤルティは企業にとって、一過性の売上ではなく、継続的で安定した収益をもたらす無形の資産と言えます。

「ロイヤルティ」と「ロイヤリティ」の違い

日本語では同じ「ロイヤルティ」と発音するため混同されがちですが、「Loyalty」と「Royalty」は異なる意味を持つ言葉です。

Loyalty(ロイヤルティ)の意味

本記事のテーマである「忠誠心」「愛着」「信頼」を意味します。顧客が企業やブランドに対して抱く、ポジティブで継続的な関係性を示します。

Royalty(ロイヤリティ)の意味

「著作権使用料」や「特許権使用料」など、権利の使用に対して支払われる対価を意味します。マーケティングの文脈で語られるのは、前者の「Loyalty」です。

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顧客ロイヤルティの2つの側面

顧客ロイヤルティ は、大きく二つの側面に分解して考えることができます。真のロイヤルティを築くには、両方の側面を高めていく必要があります。

心理ロイヤルティとは

顧客の心の中にある、ブランドへの「愛着」や「信頼」といった感情的な側面です。「このブランドの世界観が好き」「ここの店員さんは信頼できる」といったポジティブな感情がこれにあたります。

行動ロイヤルティとは

実際に顧客がとる行動の側面です。「繰り返し購入する(リピート)」「知人におすすめする(推奨)」「関連商品も購入する(クロスセル)」といった、目に見える形での行動を指します。

4象限で理解する顧客の状態

「心理ロイヤルティ」と「行動ロイヤルティ」をそれぞれ縦軸と横軸にとることで、顧客の状態を4つの象限で整理できます。自社の顧客がどの象限に多く分布しているかを把握することは、次に打つべき施策を考える上で非常に重要です。

真のロイヤルティ(心理◎、行動◎)


ブランドへの愛着が深く、リピート購入もしてくれる最も理想的な顧客層。「ファン」とも言える存在です。

見せかけのロイヤルティ(心理×、行動◎)


何らかの理由(価格が安い、場所が近い、他に選択肢がないなど)でリピートはしているが、ブランドへの愛着はない状態。より良い条件の競合が現れれば、すぐに離反するリスクを抱えています。

潜在的ロイヤルティ(心理◎、行動×)


ブランドに好意は抱いているものの、何らかの障壁(価格が高い、店舗が遠いなど)によって購買行動に至っていない状態。きっかけ次第で「真のロイヤルティ」に変わる可能性を秘めています。

ロイヤルティなし(心理×、行動×)


ブランドへの関心もなければ、購買行動も起こさない層です。

マーケティングにおける顧客ロイヤルティがもたらすメリット

人口減少や市場の飽和が進む現代において、新規顧客の獲得コストは年々高まっています。このような時代だからこそ、既存顧客との関係性を深め、ロイヤルティを高めることの重要性が増しているのです。

ここでは、顧客ロイヤルティがビジネス成長にもたらす4つの具体的なメリットを解説します。

メリット1:リピート率とLTV(顧客生涯価値)の最大化

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、一人の顧客が、企業と取引を始めてから終えるまでに、企業にもたらす利益の総額です。

ロイヤルティの高い顧客は、LTV向上に大きく貢献します。なぜなら、一度きりの購入で終わる顧客と違い、商品やサービスをリピート購入してくれるためです。

LTVを向上させることは、安定した収益基盤を作るために不可欠です。LTVが高ければ高いほど、企業は収益を予測しやすくなり、成長戦略を立てやすくなります。

メリット2:価格競争からの脱却と安定した収益基盤の構築

顧客がブランドを選ぶ理由が「価格」だけの場合、少しでも安い競合が現れれば簡単に乗り換えられてしまいます。

しかし、ブランドへの愛着や信頼といったロイヤルティが形成されていれば、顧客の行動は変わります。多少価格が高くても、「このブランドだから買いたい」と考えてくれるのです。

これにより、無用な価格競争から一線を画し、利益率を維持しながら安定したビジネスを運営することが可能になります。

メリット3:口コミによる新規顧客獲得コストの削減

ロイヤルティの高い顧客は、自発的に商品やサービスを家族や友人に勧めたり、SNSやレビューサイトで好意的な投稿をしたりしてくれます。第三者からの推奨は、企業が発信する広告よりも信頼性が高く、非常に強力なマーケティング効果を持ちます。

結果として、広告費などの新規顧客獲得コスト(CAC)を抑えながら、質の高い顧客を効率的に集めることができるのです。

メリット4:解約率の低下とブランドイメージの強化

サブスクリプションモデルなど継続的な利用が前提のビジネスにおいて、解約率(チャーンレート)を低く抑えることは至上命題です。顧客ロイヤルティは、顧客との強い結びつきを生み出し、チャーンレートを低下させる直接的な要因となります。

また、熱心なファンを多く抱えるブランドには、「多くの人から愛されている良いブランド」というポジティブなイメージが形成されていきます。結果として、ブランド価値全体の向上に繋がるのもメリットの一つです。

顧客ロイヤルティに似た概念との違い

ロイヤルティについて議論する際、「顧客満足度(CS)」や「顧客エンゲージメント」といった類似の概念としばしば混同されます。しかし、これらは似て非なるものであり、違いを正確に理解しておくことが重要です。

ここでは、それぞれの概念の焦点と目的の違いを明確にします。

顧客満足度(CS)と顧客ロイヤルティの違い

顧客満足度(Customer Satisfaction)は、提供した商品やサービスが顧客の「期待」をどの程度満たせたかを測る指標です。もちろん満足度が高いことは重要ですが、「満足=離反しない」とは限りません

例えば、「特に不満はないが、もっと安い店ができたからそちらに行く」というケースは容易に想像できます。満足度はあくまで過去の特定の取引に対する評価であり、未来の継続利用を保証するものではありません。

一方、顧客ロイヤルティは、未来に向けた「信頼」や「愛着」を含む、より能動的で長期的な関係性を示す概念です。

顧客エンゲージメントと顧客ロイヤルティの違い

顧客エンゲージメントは、顧客がブランドに対してとる具体的な「行動」に焦点を当てた概念です。例えば、SNS投稿への「いいね!」やコメント、メルマガの開封、イベントへの参加などがエンゲージメントにあたります。

これらの行動は、顧客とブランドの接点の深さを示しますが、必ずしも心理的な愛着を伴うとは限りません。

エンゲージメントはロイヤルティを形成する一要素であり、結果であることもあります。しかし、エンゲージメントの高さそのものがロイヤルティの高さとイコールではないのです。

顧客ロイヤルティは、エンゲージメントの根底にある「感情的な結びつき」そのものを指します。

顧客ロイヤルティを可視化する手法

ロイヤルティという目に見えない感情を、どのようにして測定し、ビジネスの意思決定に活かしていけばよいのでしょうか。

ここでは、顧客ロイヤルティを可視化するための代表的な指標である「NPS」と「LTV」、それらと事業の健全性を見るための指標との関係について解説します。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)とは

NPS(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)とは、顧客ロイヤルティを数値化する指標です。

「この商品(サービス、ブランド)を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」というシンプルな質問をします。回答者は0〜10の11段階で回答し、その点数によって以下の3つのグループに分類されます。

・推奨者(9〜10点):熱心なファンであり、自社の成長を後押ししてくれる顧客
・中立者(7〜8点):満足しているが熱意はなく、競合へ移る可能性もある顧客
・批判者(0〜6点):不満を抱えており、悪評を広めるリスクのある顧客

NPSは、「推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)」という式で算出されます。このスコアを定点観測し、改善のための具体的なアクションに繋げることが重要です。

LTV(顧客生涯価値)とは

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)は、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの全期間にわたって、自社にもたらす利益の総額を示す指標です。ロイヤルティの高い顧客ほど、購入頻度や購入単価が高く、継続期間も長くなるため、LTVは高くなります。

LTVの計算方法はビジネスモデルによって異なりますが、「LTV=平均顧客単価×収益率×平均継続期間」の計算式で算出するのが一般的です。

自社のビジネスにとって、どの顧客層が最もLTVが高いのかを分析することで、リソースを投下すべきターゲットを明確にできます。

CAC(顧客獲得コスト)との関係性

顧客ロイヤルティ向上施策の投資対効果を判断する上で欠かせないのが、ユニットエコノミクスという考え方です。これは顧客一人あたりの採算性を測るもので、特に「LTV÷CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)」の比率が重要視されます。

LTVがCACの3倍以上ある状態が、事業として健全である一つの目安です。LTVを最大化し、CACをロイヤル顧客の口コミ効果などで抑制することが、持続的な事業成長の鍵となります。

顧客ロイヤルティを高める「ロイヤルティプログラム」とは

顧客ロイヤルティを高めるためには、具体的な施策、すなわち「ロイヤルティプログラム」を設計し、実行する必要があります。ここでは、代表的なロイヤルティプログラムの型を4つに分類し、それぞれの特徴と目的を解説します。

ビジネスモデルや顧客層に合ったプログラムを選択・組み合わせることが成功の鍵です。

ポイント・階級型

購入金額に応じてポイントを付与したり、年間の購入金額によって会員ランクが変動し、ランクに応じた特典を提供したりするプログラムです。多くの企業で採用されている最も古典的で分かりやすい手法と言えます。

「ポイントを貯めたいから」「ランクを維持したいから」という動機付けにより、顧客の継続購入(行動ロイヤルティ)を促進する効果があります。

有料会員型

Amazon Primeに代表されるように、顧客が会費を支払うことで、送料無料や限定コンテンツ、先行アクセスなどの特別な便益を受けられるプログラムです。

会費という投資をしているため、顧客は「元を取りたい」という心理が働き、利用頻度が高まる傾向にあります。

クローズドな環境で特別な体験を提供することで、顧客の帰属意識と満足度を高めます。

価値共創・パーパス拡張型

企業の理念(パーパス)や価値観に顧客を巻き込み、共に価値を創造していくプログラムです。例えば、商品開発のプロセスに顧客の意見を取り入れたり、ブランドが主催する社会貢献活動に共に参加したりするなどが挙げられます。

単なる取引関係を超え、「このブランドを応援したい」という強い共感や心理的な繋がり(心理ロイヤルティ)を醸成することを目的とします。

経済圏拡張・連携型

楽天ポイントやTポイントのように、一つのIDで様々な提携企業のサービスを利用でき、共通のポイントが貯まる・使えるプログラムです。

自社サービスだけでなく、日常生活のあらゆる場面で接点を持つことで、顧客を自社の「経済圏」に囲い込み、他社への離反を防ぎます

購買行動だけでなく、アンケートへの回答やサービスの利用といった、様々な行動を評価の対象とすることもあります。

まとめ

本記事では、マーケティングにおける顧客ロイヤルティの重要性から測定方法、具体的な向上戦略までを解説してきました。

顧客ロイヤルティとは、単なるリピート購入ではなく、顧客の心の中にある「信頼」と「愛着」に根差した、企業と顧客との長期的な関係性です。

ロイヤルティの高い顧客は、LTVの向上や価格競争からの脱却に貢献します。さらに、優良な新規顧客の紹介など、計り知れない価値をビジネスにもたらしてくれます。

顧客ロイヤルティの構築に近道はなく、魔法のような特効薬も存在しません。顧客一人ひとりの声に耳を傾け、期待を超える価値を提供し続ける地道な努力の積み重ねが不可欠です。

NPSやLTVといった指標を羅針盤としながら、自社に合ったロイヤルティプログラムを設計・改善し続けましょう。継続的な関係構築こそが、競争の激しい市場で選ばれ続けるブランドになるための唯一の道です。

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