
インハウスデザイナーとは|仕事内容やメリット・デメリットを解説
- 更新日 : 2024/12/04


企業内で活躍する「インハウスデザイナー」。一つの会社に所属しながら、多様なデザイン業務を担当するこの職種は、安定性と創造性を両立できる魅力的なキャリアパスとして注目を集めています。
ブランドの一貫性を保ちつつ、企業の成長に直接貢献できるインハウスデザイナーの役割と、そのキャリアの可能性について詳しく見ていきましょう。


インハウスデザイナーとは?
インハウスデザイナーとは、制作会社や外部のデザイン事務所ではなく、一般の事業会社に直接雇用されているデザイナーのことを指します。企業の内部で働くため、その企業のブランディングやデザイン要件に深く関わることが可能です。
インハウスデザイナーは、自社のあらゆる制作物に携わることができ、具体的には「Webサイト」「カタログ」「名刺」「ポスター」などが含まれます。
制作会社に在籍するデザイナーとの違い
制作会社のデザイナーは様々なクライアントのプロジェクトに携わりますが、インハウスデザイナーは一つの企業に専念します。そのため、インハウスデザイナーはその企業のブランドや文化をより深く理解し、一貫性のあるデザインを提供することができるようになります。
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フリーランスのデザイナーとの違い
フリーランスのデザイナーは個人として複数のクライアントを担当するのが主な働き方になりますが、インハウスデザイナーは特定の企業に所属し、安定した収入と福利厚生を得られます。
インハウスデザイナーは企業の長期的なビジョンや戦略に深く関与できる一方、フリーランスのデザイナーは多様なプロジェクトを経験できる柔軟性があります。
企業がインハウスデザイナーを採用する理由
企業が外部委託ではないインハウスデザイナーを採用する理由としては、以下のようなメリットが考えられます。
外部委託が不要になるためコスト削減に繋がる
長期的な視点から見ると、インハウスデザイナーの雇用は経済的に効果的です。
外部のデザイン会社やフリーランスデザイナーへの委託費用は、プロジェクトごとに発生し、時に高額になることがあります。一方、インハウスデザイナーを雇用すれば、固定給で多数のプロジェクトをカバーできます。
また、外部委託の際に必要となる契約手続きや調整時間も削減できるため、間接的なコスト削減も期待できるでしょう。
共通のデザイン基準を理解している
共通のデザイン基準を理解しているため、一貫性のあるブランディングが可能です。 インハウスデザイナーは企業のデザインガイドラインを熟知しています。日々の業務を通じて、企業の視覚的アイデンティティの細部まで把握しているため、全てのデザイン制作物で高度な一貫性を保つことができます。
ロゴの使用方法、カラーパレット、タイポグラフィなど、ブランドの視覚要素を正確に適用することで、強力で統一されたブランドイメージを構築・維持することが可能になります。
ブランドコンセプトを深く理解している
ブランドコンセプトを深く理解しているため、的確なデザイン提案ができます。 企業文化や価値観を日々体験しているインハウスデザイナーは、ブランドの本質を深く理解しています。社内のコミュニケーションや意思決定プロセスに直接関わることで、企業のミッションやビジョンを体感的に把握しています。その結果、単なる見た目の美しさだけでなく、企業の核心的な価値観や目標を反映したデザインを生み出すことができます。また、企業の長期的な戦略や方向性を理解しているため、将来を見据えたデザイン提案も可能です。
迅速な対応と柔軟性が向上する
インハウスデザイナーは、企業内の他の部門と密接に連携できる立場にあります。急な変更や新たな要求に対して、社内のコミュニケーションラインを活用して迅速に対応することが可能です。
外部委託の場合に生じがちな調整の遅れや誤解を最小限に抑え、プロジェクトの進行をスムーズにします。
インハウスデザイナーとして働くメリット
インハウスデザイナーとしてのキャリアには、多くの魅力的なメリットがあります。以下に、その主要な利点を詳しく説明します。
多様なデザインに触れる機会がある
インハウスデザイナーは、企業内の様々な部門や製品ラインのデザインに携わることができ、この多様性がデザイナーのスキルセットを大幅に拡大する機会を提供します。ある日はウェブサイトのUIデザインを行い、翌日は製品パッケージのデザインに取り組むなど、プロジェクトの幅広さが特徴です。
社内報や年次報告書のレイアウト、展示会ブースのデザイン、ソーシャルメディア用のグラフィックなど、多岐にわたる分野で経験を積むことができます。このように異なるターゲット層や目的に合わせてデザインする経験は、デザイナーの適応力と創造性を大きく向上させます。
労働時間を柔軟に調整できる
多くの企業では、インハウスデザイナーに対してワークライフバランスを重視した柔軟な勤務体制を提供しています。フレックスタイム制を採用している企業も多く、個人の生活リズムに合わせて就業時間を調整できる場合があります。また、リモートワークの機会も増えており、自宅やコワーキングスペースなど、創造性を最大限に発揮できる環境で作業することが可能です。
さらに、プロジェクトの締め切りに合わせて労働時間を調整できるため、集中して作業に取り組める期間と、リフレッシュの時間をバランス良く確保できる点も大きな魅力です。
ブランド全体に関与することができる
インハウスデザイナーは、企業のブランド戦略全体に深く関与することができます。製品デザインから広告キャンペーン、ウェブサイト、パッケージング、社内文書まで、ブランドの一貫性を保ちながら幅広い領域でデザインを手がけることができます。また、ブランドガイドラインの策定や更新に携わる機会もあり、企業の視覚的アイデンティティの形成に直接貢献できます。
長期的なブランド戦略の立案や実施に参加することで、デザインの影響力を実感し、より大きな達成感を得ることができるのも、インハウスデザイナーならではの魅力です。
デザイン以外の業務経験を積むことができる
インハウスデザイナーは、デザイン業務だけでなく、他部門との協業を通じて幅広いビジネススキルを習得する機会があります。マーケティング部門と協力することで、市場調査やブランドポジショニングなどのマーケティング戦略を学べるほか、製品開発チームと連携し、ユーザー体験(UX)デザインやプロトタイピングのスキルを磨くこともできます。
さらに、プロジェクトマネジメントやチームリーダーシップなど、キャリアアップにつながるスキルを身につける機会も豊富です。
深い業界知識の獲得
特定の企業や業界に専念することで、インハウスデザイナーはその分野に関する深い専門知識を獲得できます。業界特有の規制やトレンド、顧客ニーズなどを深く理解することで、より効果的なデザインソリューションを提供できるようになります。
また、長期的に同じ企業で働くことで、過去のプロジェクトの成果や教訓を新しい取り組みに活かすことができ、継続的な改善が可能になります。
安定性とキャリア成長
インハウスデザイナーとしてのポジションは、安定性とキャリア成長の機会を同時に得ることが可能です。正社員としての雇用は、安定した収入と福利厚生が期待でき、長期的な生活設計を可能にします。また、企業内でのキャリアパスが明確で、シニアデザイナーやアートディレクターなどへの昇進の道筋が見えやすくなります。企業の成長とともに自身の役割も拡大し、より大きな責任を担う機会が生まれるため、個人のスキルと経験に応じた継続的な成長が期待できます。
このように、安定性と成長の両立が可能なことも、インハウスデザイナーとしてのキャリアの大きな魅力の一つです。
インハウスデザイナーとして働くデメリット
一方で、インハウスデザイナーとして働く上で考慮すべきデメリット・注意点もあります。
社内でのデザイン相談が難しい
インハウスデザイナーとして働く上で直面する可能性のある課題の一つは、社内でのデザイン相談の難しさです。特に小規模な企業では、デザインの専門家が少ないため、技術的な相談や批評を得る機会が限られる可能性があります。このような環境では、自身のスキルや創造性を向上させるための建設的なフィードバックを得ることが困難になることがあります。
また、デザインの決定プロセスにおいて、非デザイン部門の意見が優先されがちで、専門的な見地からの提案が十分に理解されないこともあります。このような状況は、デザイナーのモチベーションや職務満足度に影響を与える可能性があり、長期的にはクリエイティブな成長を妨げる要因となるかもしれません。
得意分野以外のデザインも担当する必要がある
インハウスデザイナーは、企業のニーズに応じて、自分の専門外や得意分野以外のデザイン業務も引き受けなければならないことがあります。例えば、主にグラフィックデザインを専門としているデザイナーが、ウェブデザインやUXデザインのプロジェクトを任されるような状況です。この多様性は一面では良いスキル開発の機会となりますが、同時にストレスや不安の原因にもなり得ます。自身の専門性や強みを十分に活かせない場面に直面することで、仕事への自信や満足度が低下する可能性があります。
また、幅広い分野をカバーしなければならないため、特定の分野での深い専門性を培うことが難しくなる場合もあります。
デザインの幅が限定される可能性がある
一つの企業のブランドや製品ラインに集中するため、多様なスタイルや業界のデザインに触れる機会が減少する可能性があります。
この状況は、クリエイティブな刺激や新しいトレンドへの露出が限られることを意味し、デザイナーとしての視野が狭まる恐れがあります。長期的には、市場全体のデザイントレンドや新しい技術から取り残される可能性もあり、キャリアの選択肢が狭まる可能性があります。
インハウスデザイナーはレベルが低いと言われる理由は?
インハウスデザイナーがレベルが低いと言われてしまう主な理由は、「同じ事業のデザインを続けることで、デザインがマンネリ化しやすい」という点が挙げられます。
インハウスデザイナーが同じ事業のデザインを長期間担当し続けることで、特定の業界や商材に対する固定観念が強くなりがちです。毎日同じような課題に向き合う中で、「この業界ではこういうデザインが定番」という思い込みが無意識のうちに形成されていきます。また、社内の承認プロセスや過去の成功体験に縛られる傾向も見られます。以前うまくいったデザインの方向性を踏襲しようとするあまり、新しい表現への挑戦を避けてしまう状況が生まれやすくなるのです。
ただし、マンネリ化は避けられない宿命ではありません。積極的な情報収集や、異業種のデザイナーとの交流、定期的なスキルアップの機会を設けることで、クリエイティブの幅を広げることは十分に可能です。
会社の理念や商品への深い理解というインハウスデザイナーならではの強みを活かしながら、いかに新鮮な視点を取り入れていけるかが重要なポイントとなります。
インハウスデザイナーにおけるキャリアプランの選択肢
インハウスデザイナーとしてのキャリアには、様々な選択肢があります。組織内での専門性を深める道、チームマネジメントに挑戦する道、プロジェクト全体を統括する道、そして独立して活動する道など、それぞれの選択肢には独自の魅力と必要なスキルがあります。自身の適性や目標に合わせて、最適なキャリアパスを選択することが重要です。
専門性の深化
特定のデザイン分野でエキスパートになるキャリアパスです。UIデザイン、グラフィックデザイン、プロダクトデザインなど、一つの分野に集中して技術を磨きます。専門分野における深い知識と経験を積むことで、組織における不可欠な存在となるでしょう。
最新のデザインツールやトレンドへの精通、業界標準の把握、独自の手法の確立などを通じて、後進の指導も担える立場を目指します。
マネジメント職
デザインチームのリーダーやマネージャーとしてキャリアを築きます。デザイナーの採用・育成・評価に携わり、チーム全体のパフォーマンスを向上させる役割を担います。プロジェクトの工程管理やリソース配分、予算管理なども重要な責務です。
組織全体のデザイン品質向上に向けた戦略立案も期待されます。
ディレクター
プロジェクト全体の方向性を定め、統括する立場です。クライアントや社内の様々な部門との折衝・調整を行い、ビジネス目標とデザインの両立を図ります。デザインの専門性に加えて、マーケティング、ブランディング、ビジネス戦略などの広範な知識が求められます。
組織のデザイン戦略やブランドガイドラインの策定にも関与します。
フリーランス
インハウスでの経験を基盤に、独立した個人事業主として活動するキャリアです。複数のクライアントと直接取引を行い、柔軟な働き方を実現できます。プロジェクトの選択や時間管理において高い自由度がある一方、営業活動やクライアントとの関係構築、事務処理など、デザイン以外のスキルも重要です。
自身のブランディングや専門性の確立が成功の鍵となります。
キャリアパスの選択としてインハウスデザイナーは魅力的
インハウスデザイナーとしてのキャリアは、多くのデザイナーにとって魅力的な選択肢です。安定した環境で創造性を発揮し、企業の成長に直接貢献できる点は大きな魅力と言えるでしょう。また、時間とともに企業内でのキャリアアップの機会も増えていきます。
ただし、個人の目標や価値観に合わせて選択することが重要です。インハウスデザイナーとしての経験は、後にフリーランスや制作会社でのキャリアにも活かすことができるため、キャリアの一段階として検討する価値は十分にあります。
その他のデザイナー職種について気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。
【参考】フリーランスWebデザイナーのリアル!年収や案件獲得は厳しい?未経験からなるには?
【参考】UIデザイナーとは | 業務内容・必要なスキル・キャリアプランについて詳しく解説


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